米債金利は一旦は沈静化しつつあるものの、足元の相場状況は完全にFRBに対する政策実施の催促相場の様相を呈しており、これで終息するかどうかは全く分からないところにきています。

3月19日にFOMCを控てFRBの主要メンバーはブラックアウト期間に入ったことから債券金利について発言することはありませんが、市場は引き続き政策発動を求めていることから、うまい対応ができなかった場合にはさらなる債券の失望売りが出る可能性も高いだけにここ数週間の相場の動きが非常に気になるところとなってきました。

パウエルFRB議長は3月のFOMCを無事乗り切ることができるのでしょうか。

Ratzeburg: Bauausschuss gibt grünes Licht für B-Plan Seedorfer Straße (ln-online.de) : https://www.ln-online.de/Lokales/Lauenburg/Ratzeburg-Bauausschuss-gibt-gruenes-Licht-fuer-B-Plan-Seedorfer-Strasse

11日の米10年債の入札は低調

11日早朝に実施された米10年債の入札は予想通り低調に終わりましたが、債券金利の方は驚くほど上昇はせず、米株は下院で200兆円ほどの追加経済対策が通過するのを好感して460ドル以上上昇したNYダウの動きもあって意外に静かな展開となりました。

市場では米債のビッグショートも一旦は落ち着くのではないかといった楽観的な見方もありますが、逆にそれはかなり一時的なものになるという見方も台頭し初めており、ここからの相場の動きからは目が離せない状況が続きそうです。

特に追加経済対策の法案が可決した今、米国政府はこの政策に対する原資の殆どを赤字国債の発行で賄おうとしているわけですから、FRBが国債を買い入れる以外に市場で購入ニーズが維持できることになるのかどうかは相当大きな問題になりそうで、一時的に金利が上がらないということを素直には喜べないのが実情になりつつあります。

当面3月のFOMCに向けて相場がどう催促してくるかに注目

3月のFOMCは19日の未明に政策発表が行われますが、当面はこれに向けて催促相場がさらに進むかどうかが大きな注目点になりそうです。

金利の上昇はあくまで景気回復の通過点という楽観的な見方をしているFRBのパウエル議長はこのままでは大きな政策変更を持ち出してこない可能性が高そうですし、1400ドルの追加給付金の追い風を受けて米株相場はかなりここから上昇しそうな気配が強まっているだけに、結果的にはなんの変化もなく通過してしまうことになるのかも知れません。

市場で具体的な政策実行を催促している向きはそのままでは終わらせることはないものと思われ、FOMCの前後にかなり強烈な動きが債券もしくは株式市場に変化がでるのかどうかが大きな注目点になりそうです。

ドルの上昇は米国政府にとって実は大変大きな問題

米債金利上昇で対主要通貨で大きく上昇を始めているドルの動きも、本来は米国政府にとっては非常に大きな問題になりつつあります。

イエレン議長は市場の動きに任せるなどと呑気なことを口走っていますが、実際のところ金利が上昇すればここから発行する追加経済対策の原資のための赤字国債の金利負担は莫大なものになりますし、すでに30兆ドルにも膨れ上がった連邦債務を減らしていくためにはドル安にしていくしかないのが実情で、どこかのタイミングでドル高に対してバイデン政権の誰かが釘をさすことが実際に起こりうるのではないかと考えます。

実際、過去40年近い米国の為替政策を見ていますと債務が上昇した時には必ずドル安政策を周辺国に強いてきており、1985年のプラザ合意などはその代表的なイベントであったことがわかります。

足元のビックマック指数でみた場合、円は対ドルでは相当安いレベルを彷徨っており、本来ならば1ドル75円以下が適切な価格レベルという指摘もあります。

18日には日銀の政策決定会合も控えていますが、この時期各国中央銀行の政策決定会合が非常に大きく注目を集めることになりそうです。