11月末にオミクロン株の報道が出てからというものの株も為替も荒れた相場が継続中で、例年期待される年末ラリーも今年はほとんどその可能性がなくなりつつあります。

むしろさらにここから下落方向に向かう商品が多そうで、年末に向けて上方向を想定していたトレーダーは損切を余儀なくされる相場に突入してしまっています。

人によっては押し目と理解して買い向かっている方もいるようですが、年末にむけてさらに下げる相場が到来するリスクも十分に意識してトレードしていきたい1週間です。

リスクオフが頂点に来た週末相場の主要因はパウエル発言か

株も為替も米国感謝祭の前までは比較的順調に推移していましたが、その後オミクロン報道で相場が一変、流動性枯渇の中でオーバーシュート気味に相場が下落することを目の当たりにする状況となりました。

しかし感謝祭明けの11月最終週は比較的戻りを試す動きとなりましたが、パウエル議会証言でタカ派的発言が出たことで、オミクロンとは別のリスクオフのセンチメントがでてしまったようです。

とくに週末2日のNYタイムは雇用統計を通過して最初は普通に上昇して始まりましたが、その後債券金利がみるみる低下したことから為替は完全にリスクオフとなり米株も3指数ともに大きく下げて、終わりにNYダウだけが多少買い戻されて終わるという惨事を引き起こしてしまいます。

インフレが到来するなら株価は売り急げという鉄則がそのまま広範囲に市場でワークするような結果になってしまいましたが、安全資産への逃避ということで米債を買う向きが激増したこともあり、この動きが加速することになれば年末に向けて高くなりすぎていた米株がさらに調整して大幅下落を示現する可能性は十分にあります。

すでに米債のイールドカーブは以下のチャートのように益々フラット化しており、過去のフラット化からの戻しのタイミングに大暴落が起きた悪夢が蘇ります。

そうなるとテーパリングのスタートを遅らせるなどの緩和策再開を口にしないと市場が納得しない状況になることも想定され、15日のFOMCに多くの注目が集まりそうです。

2019年にも利上げを進めようとしたパウエルは市場の催促相場のような暴落に負けて、利上げを撤回せざるを得ない状況に追い込まれているだけに、ここからの動きを間違えるととんでもないことが起きる危険性は常に意識しておく必要があります。

米債直近のイールドカーブ Data FT

ドル円は米10年債の金利次第でさらに下落のリスクも

ドル円は週明けから米10年債金利の低下を受けてすでに何度も112.500円を割りに行く動きを繰り返した1週間でしたが、このあたりには本邦の機関投資家などによる大きな買い玉が入っているようで、今のところ下抜けはできずに終わっている状況です。

ただ、これは国の金融当局による為替介入ではないのでどこかで下抜ける可能性は相当高く、これを下抜けますと112円の節目はあるものの更にその下は110円レベルまで遮るものがないといった恐ろしい状況が待ち構えています。

年末のドル需要が高まる時期にそこまで激しい下落が起きるのかどうかはかなり疑問がありますが、為替に不測の事態は付き物なので年末に向けてまた流動性が枯渇する相場になれば驚くほどの下落もあり得ることを意識しておく必要があります。

ドル円4時間足推移

ユーロドルはドル次第でさらに上昇もありうる状況に

11月の感謝祭前に1.12割れまで下落したユーロドルはその後一転して買い戻される展開となり12月1日には1.13827まで値を戻す展開となっています。

ファンダメンタルズ的にはユーロが一方的に買いあがることは想定しづらいものですが、ドルが非常に弱含む局面ではさらに上昇して1.14台を超えるところまで跳ね上がるといったことも想定した方が良さそうです。

もともと年末はユーロドルが高めに展開する時期でもあるので、こうした相場の動きがあり得るということをあらかじめ認識しておきましょう。

ユーロドル4時間足

クロス円は年初来最大のリスクオフでさらに下落継続にも注意が必要

今回のリスクオフの下げで一番強烈なパンチを浴びたのはクロス円で、中でも資源国通貨として米株の動向にも切実な影響を受ける豪ドル円、NZドル円などは1%を超える下落に直面しさらに週明け下値を目指しそうな展開です。

例年年末はオセアニア通貨は上昇する確率が8割を超えるほど高くなるものですが、今年は上昇相場は10月に既に終わってしまったようでドル円が下げドルストレートで豪ドル、NZドルが下げるとなれば豪ドル円、NZドル円でさらに下落するのは覚悟せざるを得ない状況になりそうです。

NZドル円日足

特に利上げも行ってドルに対しても上昇優位性の高かったNZドル円は76円を割る動きになっており、これがさらに進めば74円割れも視野に入ることからレベル感での買い向かいには十分に注意が必要です。

ここからはドル円の動きと米株の動きに連動することになるので、引き続き厳重警戒でトレードすることが求められます。

相場のセンチメントはここ10日あまりで激変しており、通常の年末相場のつもりで売買しているととんでもないとばっちりに合いかねません。

先週までのセンチメントの変化はまだ終焉を迎えているわけではないので迂闊な取引は十分慎むべき時間帯です。