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ゲンスラー氏はバリバリの厳格金融規制派

米議会上院は4月14日に米証券取引委員会・通称SECの委員長に元米商品先物取引委員会・CFTC委員長だったゲーリー・ゲンスラー氏を起用する人事を承認し、同氏はここ数日で正式にSEC委員長に就任することが正式に決定しています。

ゲンスラー氏は元々ゴールドマンサックス出身で金融業界にはかなり明るい存在ですが、現在はMITスローン経営大学院の教授を務めており、オバマ政権でもリーマンショック後の金融業界への規制強化にも関わっていた人物で、金融業界に肩を持つというよりは厳正に対処する存在として知られています。

直近ではバイデン大統領の金融業界の監督体制改革を主導している存在ですから、まさに適材適所といった人選となっていることがわかります。

トランプ政権下で実質骨抜き状態となったボルカールールなども再度規制強化に利用してくることが十分に考えられ、ここからの米国ウォール街はまた大きく様変わりする可能性がでてきています。

ゴールドマン・サックス・グループで最も若くパートナーに昇格した1人という経歴を持つ同氏は、金融業界の事情も知り抜いているだけにトランプ政権下のクレイトン前委員長の方針をここから大きく転換し、金融業界と激しく渡り合うことが予想されるだけに米系の大手金融機関も戦々恐々の状況のようです。

ビットコインETF誕生は期待できるが市場が思うほど楽観的ではない可能性も

ゲンスラー新SEC委員長は特に仮想通貨領域に非常に精通していると言われており、CFTC時代にもビットコインにかなり理解を示してきた存在ですが、ビットコインETF はSECの規制管轄商品となるだけにこの新委員長のもとで発行が承認されれば相当大きな市場に発展することが期待されています。

一説によればビットコインETFが上場されればかなりの投資資金が参入することになり、ビットコイン市場の安定化に繋がるだけにこれだけでもビットコインにとっては十分な上昇要因となるわけですし、ほかのアルトコインにとってもかなりプラスの要因となりそうです。

しかし過去に好意的は発言をしたからSEC委員長に任命されてそのままその持論を通すかどうかはまだ判らず、特にビットコインETFの必要性について強く強調しているというわけではありませんので市場のぬか喜びともなれば逆に仮想通貨相場の下落にもつながりかねません。

それだけに新委員長のビットコインETFに関する扱いについての発言が待たれるところです。

金融業界の自己資本規制等は再度厳しいものに

ウォール街では最近アルケゴスというファミリーオフィスの隠れヘッジファンドのようなビジネスがハイレバレッジを多用して巨額の損失が明るみにでたばかりですが、実はこの件も調査は始まっているようで、ゲンスラー新SEC委員長のもとでどのような判断が下されることになるのかも大きな注目点となってきています。

金融業の自己資本規制の再調整化の動きも十分に考えられるところでトランプ政権ですっかり緩んだウォール街には大きな緊張が走りそうです。

また直近では空箱状況と呼ばれるSPACのスキームの上場も社会的に大きな批判を浴びつつあり、こちらにもなんらかの規制が入ることになれば青天井のように史上最高値を更新中の米株にも変化が訪れる可能性がありそうです。

民主党では以前からエリザベスウォーレン議員がこうした金融市場の不適切な状況を厳正にSECに指摘してきていますが、新委員長の就任でいよいよ問題にメスが入ることになれば投資銀行やファンドなどの動きにも劇的な変化が訪れることになりそうです。