米国が本格的に夏休み明けとなった9月第二週の為替相場は、市場参加者が期待するほど思い切った動きを見せることはありませんでした。
ドル円については、週足など長い時間足で見ると引き続き上を試す動きになっています。
週明けは、いよいよ本邦の財務当局が、どのレベルで為替介入に打って出るかを予想しながら押し目を買い続けるという、かなりの神経戦の展開が続きそうです。

ドル円9月第二週の一週間

ただ、日足以下の短い時間足で見ると、微妙に調整が入りそうにも見えることから、ひとたび押しが入ると、それが買い場となるのか判断に苦しむところもあり、それなりに難しい相場になってきている事がわかります。
相場の上昇を引っ張っているのは、引き続き投機筋であることは間違いないので、ここまで上昇してきたドル円は、早晩150円を試しに行くことになると思われます。
しかし、実需ベースで考えると、輸出勢は簡単に円買いに市場に登場しておらず、必ずしもドル円が下がる環境ではないことも見えてきます。
つまり、市場で円を買い求める向きが限定しており、相対的な関係から、どうしてもドル高が進行しやすくなっていることが見えてきます。
また、投機筋の売買でも、昨年のような猛烈な過熱感は感じられず、為替介入担当の神田財務官は、ファンダメンタルズでは説明できない動きがみられると円安をけん制しています。
しかし逆に、ファンダメンタルズ的に日米の金融政策の差がでているから円安になっていると市場から失笑される場面もあり、果たしてどこで当局と投機筋が激突するのかに注目が集まっています。

7日東京タイム鈴木財務相の牽制発言で下げに見えたドル円は別の理由から下落

先週金曜日、東京タイム仲値の前に、鈴木財務相の円安けん制発言が、丁度9時半すぎにヘッドラインとして流れたことから、市場は相場の下落の原因はまさにこれであると断定してしまいました。
しかし、実は時系列的に時間を追ってみると、日本株が9時過ぎから下落をしたのにドル円がついて行ったのがそもそもの下落の始まりで、9時半にはすでに400円超の株価下落、146円台中盤まで相場が下落していたことがわかりました。
その直後、戻りを試しそうな時に出たのが鈴木財務相コメントで、相場はこれを見合いに、戻り売りを続けることになりました。
しかし、押し目の買い意欲は想像以上に強く、実需のドル買いも手伝って、その後は前値戻しまで再上昇してしまい、市場ではむしろ鈴木発言に乗ってショートが担がれ、損切りを余儀なくされた向きも相当多かったようです。
発言タイミングが相場の下落と妙にシンクロしていたことから、ほとんどの市場参加者が、牽制発言に相場が下落で反応したと勘違いしたのも不幸の始まりになったようです。
鈴木発言は通常の牽制発言と代り映えのしないものだったので、下落をけん引することになるのかについては疑問を感じましたが、結果をみると、やはりそうだったという印象が強くなった相場でした。

ドル円9月9日の動き~10時過ぎには全値戻しという驚きの展開

週明けはズバリドル円が150円を試しに行くかに注目

先週末ドル円は、NYタイムで147.800円という日通しの高値、かつ年初来高値でもある水準に到達したまま、週の取引を終えています。
週明け毎日のように、70銭程度上値を伸ばすような動きをしながら推移した場合、いよいよ週内に150円を試しにいく可能性が高まることになります。
1日で2円近い変動があれば、確実に介入理由になりますが、ずるずる上昇して150円を突破した時に、相場水準ではないと説明が出来るのかにも注目が集まります。
最大の頼みの綱の米国は、円買い介入が行われれば、日本株の上昇を冷やすことにも効果を発揮することから、ある手度黙認するつもりのようですが、神田財務官が腹を括って150円前後で介入に踏み切るのかどうかは、依然不明の状況です。
実際に介入が行われることになれば、投入資金次第ですが、簡単に10円近く下落することが予想されるので、ここからはどこで戻り売りをするのかも真剣に考えたい時間帯となります。

ユーロドルはドル次第だが引き続き上値の重たい状況継続を予想

ユーロドル一週間の動き

先週のユーロドルは、ドル主導で動く相場が延々と続き、週を通じて下向きのトレンドを形成する一週間となりました。
ECBが、ここから積極的に利上げを行わない限り、ドルに引っ張られる相場がまだまだ続きそうな状況です。
すでに週末1.0700を割り込む動きになりつつある中、ドル次第でさらに下落する可能性もあり、特に13日の米国月次CPIを受けてドル円が強含むようであれば、一段の下落を覚悟せざるを得ない状況になっています。

米国のレイバーデーを通過して、市場は本格的な秋相場に突入しています。
ただ、相場自体はそれほど思い切った動きにはなっておらず、大きな変化が訪れることになるのか見守る状態が続いています。
そんな中、本邦金融当局の介入は人為的に行われるものだけに、関心は高まっており、これに乗じて一儲けしようとする向きが多くなってきているのも、また事実です。
ドル円の高値掴みは、大損の元凶になりかねないので十分な注意が必要ですが、押し目があればストップロスをおいて果敢に買い向かい、一定の利益がでれば即利確して利益を逃さないこまめなトレードが必要になりそうです。
また、大きく買い上がった状況では、介入期待での売りを検討することも重要で、このあたりをどう見極めるかが勝負の分かれ道になりそうです。