昨年の5月辺りから新型コロナ給付を原資にして米株市場に大量参入したロビンフッダーなどの手数料無料株式アプリを使った個人投資家たちが再度ミーム株への投資を集結させて相場を動かし始めています。
昔から株式市場には仕手戦というのはよく起きたものですが、ほとんどはプロ集団同士の戦いで個人投資家は巻き込まれることはあっても主体的に仕手戦に大量に参加することはありませんでした。
しかし昨年からのミレニアル世代の株式市場参入によりSNSで話題になった銘柄に多くの見ず知らずの個人投資家が一気に結集して相場を思いきり持ち上げるという動きが連発するようになっており、ここのところ一旦小休止だったそのような動きがAMC株で再燃し始めている点が市場では注目されはじめています。
ただヘッジファンド勢もただ踏みあげられるばかりにはなっていない状況も散見され個人投資家が決定的な負けを見る可能性もではじめていることから事態は昨年よりも一層複雑化、かつ深刻化していることが窺われます。
またしても一部のミーム株が暴騰する相場に
昨年はゲームストップなどいわゆるミーム銘柄の投資家が空売りを仕掛けるヘッジファンドに果敢に挑み激しい打撃を与えることになったわけですが、その後は結局株価が激しく下落して双方痛み分けのような状況が続きました。
こうした仕手戦祭のような状況は一旦収束していたのですが、足もとではAMCをはじめいくつかの銘柄で再燃しはじめています。
米国の経済サイトなどではこうした銘柄に投資するのは既に投資家ではなくある種のカルト集団であるといった厳しい指摘も飛び出しはじめていますが、実態はまさにその通りでこの手の株への取引きを行う個人はすでに投資というよりもウォール街に戦いを挑み混乱を巻き起こす、そのためなら損をだしてもお構いなしといった姿勢のようでもはや投資の域から逸脱し始めているのは間違いない状況のようです。
また空売りをするヘッジファンド勢も今回ばかりはただ負けを喫するわけにはいかないことから驚くほどの資金を投入した売り向かいを行うようになっており、レディットの情報をみて結集する個人投資家たちもさすがに思い通りにならない銘柄が多くなってきているようで状況は徐々に変化しつつあることを感じます。
実際フォード株などはいくら個人投資家が結集しても相場を持ち上げられない状況が続いており、ミーム株とされる銘柄は意外に限定的になっていくことも考えられ始めています。
こうした動きはやがて米株市場全体にネガティブな影響を与える可能性も
依然としてミーム株は市場の一部にすぎませんから決定的な影響を米株市場に与えているとは言えませんが、残念ながらプラスに働く要素はなにもなく、相場がおかしな方向に向かうことになれば市場全体が大幅下落のリスクに直面することもありそうで、非常に気になる状況となってきています。
過去のバブル相場の場合でも必ずと言っていいほどその最終局面には個人投資家が大挙して市場に参入し散々相場をかき回した挙句に大きな下落に見舞われて相場を去っていくという状況が何度も垣間見られているだけに、このミーム株への個人投資家の買い上げ騒動は非常に気分の悪い状況を醸しだしています。
しかもこうした個人投資家の行動が単にウォール街への恨みであるとかファンドに対する敵対意識だけで構築されているというのはおかしな状況でここから一体どうなるのか、終息することができるのかにも関心が集まるところです。
新型コロナ関連での失業給付金の上乗せは一旦9月末で終了することからそのタイミングに個人投資家の特異な行動が収まるのかどうかが非常に気になるところですが、そのままエスカレートすれば米国の株式市場全体がおかしな方向に向かう危険性がありそうで、引き続き状況を粒さに観察する必要がありそうです。