11月6日に発表された10月の米国雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比53万1000人増と、事前の市場予想の平均(45万人増)を大きく上回る伸びとなりました。
雇用情勢の改善が確認され外食や宿泊などサービス業中心に雇用が回復しています。
9月の確定値も19万4000人増から31万2000人増に上方修正され、失業率は4.6%と事前の市場予測を下回る結果となりました。
これを受けてドル円は114円台に上昇することとなりましたが滞空時間は短く、その後NYタイムに米10年債金利が大幅に下落し始めたことから上昇したはずのドル円は下落に転じるという意外な展開になってしまいました。
発表直後は良好な数字でFRBの利上げも早まりそうな期待がありましたが、結果的にはまったく逆の動きで一週間の取引を終えています。
雇用統計の結果予想は常に難しいものがありますが、今回のように結果と関係なく相場が動いてしまうというのは久々であり、結構損切を余儀なくされた方も多かったことと思います。
突然大きく下げだした米債金利~市場は株から債券まで全部買いに
今回の相場状況で一番驚いたのは米株が雇用統計の好結果を受けて大きく上昇したのに対し、米債も一気に買われる動きとなったことで市場は総楽観で全部買いの雰囲気になったことです。
米10年債の利回りは一気に1.45%まで下落することとなりイールドカーブはさらにフラット化に進んでいます。
本来テーパリング実施が決まったことで株式は先行きを不安視する動きもでるはずなのですが、目標の早朝に発表されたFOMCの結果について米株は全く不安視しておらず、すでにクリスマスラリーに突入したのではないかといった声も出始めています。
相場になにかあればFRBが再度緩和措置を実施してくれるから安心といった楽観論が市場に広まっており、CNNの恐怖と欲望の指数はとうとう年初来高値の85を示すところまできています。
それでも113.300円でなんとか食いとどまったドル円
上昇するかに見えたドル円は一気に売り浴びせとなり一時113.300円すれすれのところまで売り込まれ、113.390円レベルで週の取引を終えています。
本来一度は115円超を試す動きになるのではないかと期待していた向きにはがっかりな動きになってしまいましたが、それでも113円台前半では踏みとどまっており、ここから下値固めをして上値を試すことができるのかどうかに注目が集ります。
日本勢はこの年末に向けて10兆円以上のドル重要があるとされており、東京タイムはドル円のドル買いを強めています。
その一方でロンドン勢は一貫してドル円の円買いを猛烈な勢いで仕掛けてきており、米債金利が低下していても何か他に特別な事情があるとしか思えない相場が一週間延々と続きました。
週明けからはいよいよ11月も中盤に向けた動きとなり感謝祭前後は米国の市場もお休みになるので、ここからの動きが果たしてどうなるのかが非常に注目されるところです。
10月末のハロウィンタイミングの買いトレードは、豪ドルやNZドルなどが一旦上昇トレンドを終了してしまったことから改めて買い場を探す必要が出てきています。
ドル円についてはこのままヨコ展開で時間調整をする可能性も出てきていますが、こちらもどこかで買い場を探すことが重要な時間帯です。
為替相場は実需も投機筋も含めて様々な思惑で動いているので想定していたとおりに動くことはありませんが、それでもまったく想定外の動きが重なると売買戦略を再度見直す必要が出てくるのも事実です。
このあたりを常に冷静に判断して対応していくことが重要であることを改めて感じさせられる雇用統計相場となりました。