17日、前日のNYタイムからの上昇を引き継いだドル円は、東京タイムが始まる前の朝8時半ごろに114.970円まで上昇しほぼ115円超となりそうな見せることになりました。

しかしその後は114.900円台まで持ち上げるのが精一杯で、ロンドンタイム以降になるとどんどん上値が重くなり、NYタイムでよくない経済指標が出たことや米債金利が下がったことなどもあって高値で買い向かったロング勢が置き去りになる動きとなり、瞬間的にですが114円を割れるところまで下落する相場となってしまいました。

本邦のドル円ショート勢はかなり助けられて取り残されたショートポジションはリカクで解消となったようですが、ロング勢の投げは相当な量だったようで明けた18日の東京タイムはほとんど大きな動きがないままに113円台に再度沈み込んで推移しています。

本来ならばこの時期ドル円は実需も絡めた上昇局面にあり115円を超えれば年末までにさらに上値を試しそうな状況だっただけに、このタイミングでいきなり想定外の冷や水を浴びせられたことからここからどうするべきなのか分からなくなった向きが多かったように見えました。

同時期クロス円であるユーロ円にもロングの投げが入ったこともドル円を大きく押し下げたようですが、年末に向けて下落していくとも思えず、いきなり難しい相場になったことを感じさせられます。

現状の静かな相場を見ますと結構この動きで損失を食らってしまった個人投資家も多かったのではないでしょうか。

ドル円1時間足115円近辺の攻防のチャート

115円はかなり遠くなったが下値も堅く再度上昇基調か

年末にむけて本邦の実需は確実にドル不足が顕在化しており、さらに日米の中央銀行の明確な政策差もありファンダメンタルズ的には再上昇が視野に入りますが、テクニカル的には再度113円方向に下落しそうな状況で果たしてリアルな相場が同じようになるのかが注目されるところです。

ただ、シーズナルサイクル的にはこの時期ドル円は上昇しやすくなるのでさすがに115円を超えて120円まで接近するとは思えませんが、11月後半から12月にかけては一定の上値試しも再開する可能性が高くなりそうです。

まずはここからどこまで値を下げるかが注目されており、少なくとも113円台中盤で持ちこたえることができれば再度上昇軌道に戻ることが期待できそうな状況です。

相場に絶対はなく、この手の突飛的な状況もよくあることですが、市場全体がドル円の上方向をみていたときにいきなり大きく下げが出てしまうとかなり多くのトレーダーが損失を被ってしまうことから、妙に萎縮してしまうこともあり引き続き注意が必要です。

バイデン大統領はここ数日で次期FRB議長を決定

足もとの相場で静かな注目となっているのがFRB次期議長問題です。

バイデン大統領はここ数日で結果を公表する旨をすでに示唆していますが、ブレーナード任命となった場合には利上げが遠のくとの見方からドル円が売られる可能性もあり、こちらも相場の動きとともに十分に注意しなくてはなりません。

現実的にはパウエルが続投してもブレーナードが任命されても来年の中間選挙に向けてバイデン政権がカネをバラまくことは間違いなく、さらに連邦債務が莫大に膨れ上がる中で利上げを行うことは誰が議長になっても変わらないので、初期に相場が過剰反応することだけが危惧されます。

いよいよ年末にむけて為替は稼ぎ時が到来するはずですが意外に今年の相場は混沌とした状態が続くようで、常に不測の事態が発生するリスクがあることを覚悟しながら売買を行う必要があります。

来週はすでに米国は感謝祭で後半に向けて市場はお休み、参加者は週明けからぐんと減ることが予想されるので別の注意も必要になり、難しい相場はまだまだ続きそうです。