日銀は、ドル円が黒田シーリングのレベルに近づいても依然として円安のメリットを口にしており、すでに対ドルで円が126円に到達するのも時間の問題になりつつあります。

現状では世界の主要通貨に対して本邦の債券金利が最も安い状態になるのは確定的であることから、この先円キャリートレードの需要が爆発的に再燃される可能性が高まりをみせています。

円キャリートレードはここ10年それほど意識されてこなかったスキームですが、ここからの円全面安では世界の投機筋から円調達が進みそうで、為替はそれだけをもってしても円安へと加速することが予測されるところとなってきました。

2000年代初頭にブームとなった円キャリートレード再来か

円キャリートレードは2000年代に非常に流行ったもので、多くの海外投機筋が調達コストの低い円を借り入れて他の国に投資すると言う形をとるため、一時的には実需のドル円ドル買いと同じような一方的な効果を発揮することになり、現状の125円台の相場はさらにドル円が上昇していくことが容易に想像できます。

ただ2008年のリーマンショック後は日米金利差が大幅減少したことから円キャリートレードの巻き戻しが入り、ドル円は猛烈な円高にシフトすることとなりました。
円高が到来すると円キャリートレードを行う投機筋にも大きなリスクがかかってくることがわかります。

ただ今年FRBが公言しているように、FOMC毎に利上げが行われ月を追う毎に日米金利差が拡大することから、円で借り入れして他国に投資していく動きが顕在化すればキャリートレードだけで円安がさらにすすむ状況が現実のものになろうとしているのが気になるところです。

米国が一時的に利上げして様子を見るという状況ならば円キャリーもそれほど加速することはないと思いますが、毎回のFOMCで0.25ないし0.5%利上げ継続ということになればその影響は想像以上のものになりかねず、日銀の政策の弱点を叩くように投機筋が円キャリートレードに集中することになれば1ドル150円も現実になると警告する海外金融機関のアナリストも登場しています。

為替は日銀の管掌領域ではないがこのまま放置すればとんでもない円安示現も

そもそも為替は日銀の管理している範囲ではないので黒田総裁がその水準について物申すというのはあまり正しくなく、財務省、財務大臣が対応すべき問題となっています。

急激な為替の変動は望まないといったかなり消極的な口先介入ですと、やがて投機筋からは何もしないことを見透かされ126円を超える高値に持ち込まれるのは時間の問題になるでしょう。

そこに円キャリートレードがさらに上乗せされるので、我々が想定するような為替市水準を遥かに超えた円安時代が到来した場合、通貨当局が一体どういう手段を講じることになるのかが非常に注目されます。

通常4月は後半からドル円は円高傾向に動くのが例年のシーズナルサイクルですが、今年についてはそういった動きは期待できなさそうで、このまま夏までドル円が上昇するのかに大きな注目が集まっています。

Data Tradingview

すでに126円に接近しているドル円のここからの上昇は過去10年のチャートでは表示できないレベルに到達しており、チャート的にはここを超えると135円や145円といった2000年代、あるいはそれ以前のレベルにまで円安が引き戻されることが予想されます。

中間選挙を控え莫大な連邦債務を抱える米国のインフレ対策としては確かにドル高が有利ですが、借金の返済やリセッション入りといったネガティブな材料を考えるとドル安に動くのが歴史的にみても強いことから、ここからはどこまで米国政府がドル高を容認するかも大きな材料になりそうです。

この3月以降ドル円の動きは明らかに大きく変化しており、これまでの感覚で逆張り主体でレベル感から売り向かうのは非常に危険な状況になっていますが、本邦個人投資家はまたしても売りから参入する向きが増加しているのが気になるところです。

下手をするとそうしたポジションを巻き上げることがドル高に寄与することになりそうで、ここからは相当慎重なトレードが望まれます。