先週152円を突破したドル円は、15日のニューヨークタイムでついに154円台突破を記録しました。

市場参加者のほとんどは、152円を超えた時点で介入が実施されるのではないかとの見方を強めていましたが、口先介入の効果も虚しく、相場はどんどん上がり続けている状況です。

10日は日米首脳会談が開催されていたため、このタイミングでの介入は見送られたものと思われますが、週明けも介入の動きは見られないまま、月曜日に発表された小売売上高の好結果を受け、ドル円は154.400円付近まで上昇する展開となりました。

こうなると、神田財務官の思惑が気になるところですが、決して失敗が許されない為替介入を、どのタイミングで実施するのかに注目が集まっています。

ほとんどの為替アナリストが、介入はドル円が155円に到達する前には行われると予測してるただけに、現状で買いに向かうのは相当なリスクが伴います。

結果として、多くのトレーダーが足止め状態となっているようです。

史上最大規模に膨れ上がる投機筋の円売りポジション

シカゴIMM通貨ポジションの推移を確認してみると、久々に20万枚という大きな円売りができていることがわかります。

投機筋にできるだけ大きなダメージを与えたいであろう財務省にとって、この円売り状況は絶好の介入チャンスであり、154円超えを待たずしても、介入の成果は十分に発揮されることが予想されます。

過去の推移を見ても、20万枚が30万枚にまで膨れ上がることはなく、現状が最大の円売りポジション状態であることは間違いありません。

にもかかわらず、未だ介入が行われないということは、日本の個人投資家のショートポジションが踏み上げて切れることを待っている可能性も考えられます。

介入しないまま160円まで上昇するシナリオも

財務省はG20諸国に対し、介入の実施は特定の水準で行うのではなく、スムージング(過度な変動を抑える事が目的)で行うとの説明をしています。

そのため、1日1円程度の変動では介入しにくいという事情があり、ボラティリティが高まるのを待っている可能性もあります。

ただ155円というのは、34年前のバブル崩壊開始直後の水準にあたることから、水準を基準にしないとは言っても、155円突破は重大な問題となるため、いよいよ介入に踏み切るのではないかとの見方も強まっています。

本日、154.500円レベルで介入が行われなかった場合は、相場は155円を視野に入れた動きになることは間違いなく、警戒感はさらに強まりそうです。

 

直近のドル円相場の推移

 

「為替相場は水物」であるため、いつの間にかあっさり介入が実施されるということもあり得ますが、現時点では実弾介入が行われそうな雰囲気はありません。

ここまで介入を後ずれさせたことで、成果にどのような違いが示現するのかは分かりません。

しかしこのまま155円を突破すれば160円まで介入が行われない可能性もあります。

物理的には155円でも156円でもそれほど大きな違いはありませんが、市場に与える心理的ダメージは大きく異なります。

152円台でドル円のショートポジションをつくり、介入を待った個人投資家はすでに2円以上踏み上げられており、介入前にすべてのポジションを損切りして終わるという結末さえも考えられます。

基本的には、155円手前で介入が実施される可能性が高まっていますが、それが見送られることになれば、介入自体を行うことができない何か別の事情を疑う必要がありそうです。

そうなった場合は、介入期待のショート勢が市場から一掃されることになるため、ここからは気が気ではない神経戦が続きそうです。