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オーストラリア準備銀行RBAは5月3日の政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ、0.35%とすることを決定し発表しています。

昨年あたりに頑固として利上げはないと発言していたロウ総裁は、政策決定後の会見で今後数カ月で追加利上げが必要になると発言を始めており、完全に宗旨替えの様相を呈してきており、年内さらに利上げを示唆したことで豪ドル円はかなり堅調に推移することが予想されはじめています。

ロウ総裁は豪州のインフレ率が時間の経過とともに確実に目標に復帰するために必要な対応を行うことが必要としており、明確に今後さらなる政策金利引上げを示唆しているので、今後の政策決定会合のたびに利上げを見極めるような市場の動きがでてくるものと思われます。

こうなると豪ドル円もドル円ほとではないにせよ円安が一層進みそうで、多くの通貨に対して円がさらに安く推移する時代が明確に到来していることを感じさせられます。

インフレ対策の利上げは主要中銀の大きな課題に浮上

米国FRBは今後毎回のFOMCで利上げを予定していて、まだ実際の利上げには着手していないECBも早ければ7月に利上げ開始といった関係者の発言も飛び出すようになっており、気がつけば主要国のほとんどは利上げへと傾斜しようとしている状況で、利上げ時期、利上げ幅、政策金利発表後の総裁発言などが大きく相場を動かす材料になりつつあることがわかります。

そういう視点で言うと日技の他国と人並外れた緩和維持、絶対金利を上げない政策はここから益々円安を加速させるリスクを高めるだけで、他国の中央銀行が利上げを実施するたびに円は売られるリスクと戦っていかなくてはならない時間帯に突入してしまいました。

市場ではドル円が年内に150円になる、あるいはさらに上値を目指し、何も抑止力になるものがないという悲観的な見方も出回りはじめていますが、それが現実のものになろうとしていることを強く感じさせられます。

円安は黒田総裁の任期が切れるまで継続の可能性も

日銀は4月の政策決定会合でとうとう10年債の連日の指値オペを実施するとの声明を発表し、イールドカーブコントロールにさらに拍車がかかりはじめています。

トルコのエルドアン大統領のもとではトルコ中銀がどれだけインフレ加速しても利上げを行わず、下手をすれば利下げに動くというきわめてエキセントリックな政策を続行中ですが、黒田日銀もそれに順ずるぐらい違和感のある政策になりつつあり、国内の市場関係者からもかなり呆れたという声がきかれはじめています。

黒田総裁の在任中はどうやらこの政策を変更することはできない見通しですが、来年の4月まで足もとの政策が延々と行われた場合、果たしてドル円がどこまで上昇してしまうのかが非常に危惧されるところとなってきています。

奇しくも11月には米国の中間選挙が実施されるので、それまでにリセッション入りのような兆候がでれば米国政府自身が過度なドル高を抑止するような動きにでて、ドル円も下落を余儀なくされる可能性はありそうですが、それ以外は日銀が政策変更しないかぎり流れが変わらないという見方も強まっています。

20年以上前の日本における1ドル130円や、それ以前の150円という時代はまだこの国がかなり強い輸出競争力を持っていたことから確かに円安のメリットというものも享受できていましたが、足もとでは多くの輸出企業も海外に生産拠点を設置するようになり為替の影響を極力抑える動きをしているため、円安がメリットになる企業は激減しており、過去の円安時期とは全く異なる状況になっている点も意識しなくてはならないようです。