6月第二週から三週にかけては中銀政策決定会合ウイークが続きますが、ECB理事会と米国の5月CPIの発表だけでも相場は異質な動きをするようになっており、為替相場のトレードは想像以上に難しい時間帯にさしかかってきています。
週明けそれがさらに拡大することが危惧されるところです。
長い時間足のチャートでみれば上昇トレンドがでているような相場でも、相当上下動を伴って振らされる相場になることから、日頃に増して慎重なトレードを要求される一週間になりそうです。
ECB理事会を経て駄々下がりのユーロドル
ECB理事会の声明はほぼ市場の事前予測通りのものとなったわけですがラガルドの説明がいまひとつ曖昧で、かつタカ派的な部分がほとんど感じられなかったこともあってかユーロは完全に材料出尽くしの状態に陥ってしまい、想像以上に売り圧力が強まるというまさかの展開となりました。
ラガルド総裁や一部のECB要人が7月の利上げを示唆してから6月に向けてそれまでの下落が嘘のように上昇したユーロ相場ですが、今回のECB理事会を通過した売りで完全にもとのレベルに戻した形となってしまい、ここからはさらに下落することも十分に考えられる状況となってしまいました。
そういう意味では相場は非情な世界で、噂や期待で買上げられたものは事実売りに直面してもとに戻るという、絵に描いたような展開を目にすることになったわけです。
一方ユーロ円はドル円の凄まじい上昇に連動する様に上昇し、6月8日には一時144.249円の高値まで付けましたがECB理事会以降は完全にユーロドルの下落に追う形となり、すでに140.798円まで下落する場面もありました。
チャートを見ると完全に行って来いの状態で、上昇はかき消されています。
ただ140円をまだ割れていないので、テクニカル的には再度ドル円の上昇に連動する形で上値を試すことも考えられるところですが、一時の勢いは完全に失われており、ここからは迂闊にロングで買い向かうのはかなり危険な時間帯に入ってしまったようです。
ポンドはMPCを経てさらなる下落に注意
今年4月中盤から5月の連休明け辺りまで大きく下げたポンドは、対円でもそれなりに戻りを試しすでに底をつけたかのような印象を個人投資家に与えていますが、インフレの進行が尋常ではない足もとの状況では、主要国通貨の中でもここから劇的に大幅下落する可能性を複数のアナリストが警告しはじめています。
国内ではドル円に続きなんと12%程度の取引シェアを誇るポンド円ですが、ここからは相当気をつけざるを得ない状況で、すでに先週段階でユーロに連動するかのように値を下げてもとのレベルに戻し始めています。
BofAのアナリストはすでに英国ポンドが新興国通貨において見られるような苦境に直面しており、投資家はポンドの実在的危機をヘッジする必要があると強調しています。
実在的危機という言い回しは刺激的ですが、新興国通貨並のリスクがすぐに迫っているとは言わないものの、英国の経常赤字や北アイルランドを巡るEUとの関係悪化、さらに英中銀の信頼性についての疑念から、場合によっては最悪の状況を生じさせる危険性があることを示唆しています。
週明けMPCが開催されますが、内容次第ではまた下落の危機に直面することも念頭に入れた取引が必要になりそうです。
最大の問題はドル円がFOMCを経てどう動くか
週明け相場の中でも一番難しいことになりそうなのが、長い時間足で確実に上昇トレンドを継続中のドル円です。
日足、週足ベースで見ているともう上昇トレンド一本といった感じで3月から延々と上昇していることが確認できます。
ただし現状の水準はすでに90日移動平均線から9%近く離れており、相場の本来的な力から言えばある程度引き戻される可能性はありそうで、投機筋はとにかく135円到達を目論んでいるようですが、週明けのFOMCがらみでこれが到達した場合にそのあと激しい反動で下落する可能性も視野にいれておきたいところです。
過去3か月の月単位での値幅を見ると3月が6.8円弱、3圧が9.62円、5月が一旦戻ってマイナス1.2円、6月はここまでで5.9円なので月平均の5.5円レベルを6月はすでに超えていおり、4月のような上昇を示現すれば140円もありえない話ではありませんが、135円を付けますと一旦大幅な調整に見舞われる可能性を考えておく必要がありそうです。
先週段階から上昇途上で1日の値幅は猛烈に大きくなっていることも気になるところで、タイトストップをつけてトレードしていますと頻繁に損切にあうといった不幸な事態になりかねない点にも注意が必要です。
さらに17日には極めつけとして日銀政策決定会合が開催されます。
基本的に新しい政策変更はないものと思われますが、毎度お馴染みの黒田総裁の緩和継続姿勢と円安容認発言がでると、投機筋がこぞって買い上げることになりかねないのでこちらにも相当な注意が必要です。
中銀政策決定ウイークに突入したことで相場の値動きは非常に荒くなっています。
たとえトレンドにのってロングでポジションをもったとしても持ちっぱなしは振り落とされる可能性が非常に強く、適宜リカクしてリスク管理していくことを大切にしなくてはならない一週間になるでしょう。