2月最初の週、市場の関心は米英欧の各中央銀行の政策決定会合の内容に集中することとなりました。
米欧の時間では2月1日と2日に分けて開催された中銀政策決定会合でしたが、日本時間では2日の朝4時から同日の深夜11時近くまで開催されることとなったため、1日で3中央銀行のイベントを見続けるというかなりハードな1日になりました。

結果は3中銀ともに市場の予測通りFRBが25ベーシスポイント、BOE、ECBともに50ベーシスポイントン利上げで特段サプライズはありませんでしたが、市場は議長や総裁といった政策責任者の発言の細かなニュアンスから先読みをして楽観的になったり悲観的になったりしており、中央銀行に異常なほど依存する金融相場の体質が改めて示現する場となってしまいました。

米国FRBパウエル発言はハト派的と認識される

主要中銀の政策決定の皮切りとなったFOMCではインフレ率2%への正常回帰に向けてインフレ対策を勧めていくことが宣言に記載されていたことからタカ派的に捉えられドル円は上昇、米株は大きく下落する展開となりました。
しかしその後の会見に現れたパウエルの発言が幾分ハト派的に認識されたことからドル円は128円台に下落、株価は大きく値をもどしてNYタイムの取引を終えています。

会見について、実際の発言はかなり玉虫色で特段タカ派にもハト派にも聞こえるものでしたが、楽観論が支配している市場ではハト派的と解釈されてしまったようです。
とくにディスインフレが進んでいることを確認したという発言がハト派に見える決定的なものになってしまいました。

BOEは利上げ打ち止め感を示唆しはじめている

BOEの利上げは2021年12月から10回連続であり、政策金利は4.0%と2008年以来の水準に達しています。市場は政策金利のピークは4.25%~4.5%と織り込んでおり、次回会合での利上げが最後と見込んでいるようですが、BOE自体利上げはかなり採取局面に到達していることを示唆しており、この先はいつ利下げが始まるのかに注目が集まりはじめています。さすがにBOEもその時期については一切示唆していませんが市場予測では年末までに利下げが始まる可能性が高く注目のポイントはすでに利上げ停止から利下げの時期に移行しはじめています。

ECBの利上げもここから先は未知数の状況に

今回50ベーシスポイントの利上げを実施したECBは政策金利が2.5%と2008年以来の高い水準に達しています。
ECBは声明で、政策委員会は次回3月の政策決定会合で再び50ベーシスポイントの利上げを実施する意向を示していますが、その後の会見に現れたラガルド総裁は必ずしも決まっていることではないと火消しにまわったことから、一旦上昇したユーロは各通貨に対して大きく下落するといった場面も見られました。
ラガルド総裁は会議の議論と決定内容とは別に私見を述べるので有名な存在ですが、ユーロ圏のCPIは米国同様低下に転じているためこの先どこまで利上げを継続するのかは大きな市場の関心事となりつつあります。

今後の課題は各中銀がどこで利上げ打ち止めし利下げに転じるか

ECBはまだ途上感がありますが、米欧の中央銀行はかなりいいところまで利上げを続けてきている状況であり、市場はここからいつ利上げが停止するのか、またその先利下げがいつはじまるかに早くも関心があつまりそうな状況となってきています。
FRBパウエル議長は現状の経済状況が継続するかぎり2023年中の利下げはないと断定していますが、英国のほうはそれより先に利下げに舵を切りそうで俄然注目が集まります。

複数の状況の違う国々を束ねているECBの場合ここからの判断は相当難しいものになりそうですが、物価上昇が一息つきそうなのがなによりの朗報となっています。
この3中銀ともに揃っているのは物価高に対する警戒感が非常に強いことで、価上昇率の低下と景気減速が確認されたとしてもそう簡単に利下げによる緩和を行わない可能性があり、市場の期待と大きく離れる可能性もありそうです。

ひとり別の方向にひた走る日銀の動向にはさらに関心があつまりそうな状況

こうした米英欧の中銀の政策決定を見ていると、ひとり全く別方向にむけて緩和を続ける日銀が総裁の交代を含めてどのように政策変更してくるのか、あるいはしないまま突き進むことになるのかに大きな注目が集まります。
10日は国会に総裁候補が開示されるともされているので、ここからは日銀の動向が最大の関心事として市場が機能していきそうな状況です。

とにかく金融市場は中央銀行の政策に依存するようになってきており、市場はこうしたイベントに注目するようになっています。
こうした状況はまだまだ続きそうで気の抜けない時間が続きます。