9月第4週、本邦は19日と23日が国民の休日であることに加え、19日は英国エリザベス女王の国葬で相場は休場となることから非常に短い1週間の取引となりますが、逆に密度の濃い取引時間になり厳重な注意を要する時間帯になりそうです。
なによりもまず注目されるのが、22日日本時間の午前3時に発表される9月のFOMCの政策決定結果です。
13日に発表された月次の米国のCPIが予想より高いものになったことから、すでに株式相場も為替市場も猛烈な巻き返しを余儀なくされています。
しかし現状75bpの利上げは8割以上が織り込んでいるものの、100bp、つまり一回で1%の利上げが実施された場合そのインパクトは依然大きなものになりそうで、米株と為替のドルストレートに大きな変化が現れることは覚悟しておきたいところです。
市場では本邦の財務省・日銀がドル円145円を超える水準で本当に単独介入に踏み切る可能性を海外勢中心を気にし始めていますが、22日の午後には日銀の政策決定会合を控えており、黒田総裁が引き続き緩和政策の堅持を口にしてドル円が上昇しはじめたときに、それと並行するかのように直後に本当に即時に為替介入など実施できるのかという点に疑問も高まっており、あっさり145円を超えて上伸する可能性を指摘する声もあります。
日銀が常態的に実施している無制限の10年債指値オペというのは形を変えた恒常的な円安政策のため、スムージングを理由にした単独介入であっても、米国の財務省の理解が得られるのかという点も相変わらずの疑問点として残ります。
23日は本邦は休日になるので、前日のNYタイムで大きくドル円が上昇して145円を突き抜けた場合に相場がどうなるのかも大きな注目点となりそうです。
直近の相場ではドル円は一旦下向きの動きに
13日に米国の月間CPIが上振れしたことで下方向にいくと見ていた市場参加者のほとんどが買戻したことから、ドル円は144円台に戻すこととなりました。
しかし本邦財務省がすかさず口先介入を行い、さらに邦銀に対してレートチェックまで行ったことから、海外勢を中心に本当に介入をする可能性があるのではないかとの疑念が高まり、またしても142円台に沈み込むというかなり神経質な動きとなりました。
先週末は買いあがる材料もなかったことから、ドル円は調整的に下落し週明けもある程度の調整を経て22日になりそうな状況です。
22日の早朝にドル円がどの水準でFOMCの結果を迎えることになるかが気になるところですが、143円台後半や144円台初頭であった場合、翌日本当に145円を抜ける可能性は高いと思われます。
財務省が介入の脅かしでそれを抑えることができなくなった場合には、週末もしくは週明けに投機筋主体で147円という98年の高値を試しにいう危険性が高まります。
ユーロドルの戻りも相当懐疑的な状況
先週、ウクライナ情勢の好転報道とインフレファイターとして有名なドイツ連銀のナーゲル総裁が、現在の消費者物価トレンドが続く場合ECBは利上げ継続を求められると、さらなる利上げにかなり強い意思を示したことから、ユーロドルは大きく値を戻す展開となっています。
演説上手のゼレンスキー大統領はウクライナの戦況を語るのが上手く、ウクライナ軍によるかなりの領土奪還のニュースは市場でも相当好感されているのは事実です。
ただこれは局地戦の戦況がウクライナに有利に運んでいることだけは事実としても、肝心の戦争の終結については全く出てこないのもまた事実で、ゼレンスキー大統領は冬になるとロシアがまた攻めてきて領土の大半を失う可能性があるのでなんとか武器を提供してほしいと懇願するばかりで、戦争を早期に終結させる意思が現れない独特の状況を醸し出しています。
EU圏にとってはこの戦争を早く止めること、またエネルギーを巡ってロシアとの関係をどうするのかが非常に大きな問題となっています。
一歩間違えばEU圏発のリセッションが世界に波及する可能性はかなり高く、一時的な局地戦におけるウクライナの戦況好転がいつまでユーロドルを持ち上げる材料になるのかはかなり懐疑的な状況になりつつあります。
またドイツ連銀総裁の利上げ継続発言も気になるところで、ドイツは戦前に凄まじいインフレに見舞われてことがあるだけにインフレが示現してくるとドイツ連銀は欧州のどこの国にも先んじてインフレファイトを明確に示します。
しかし毎回指摘しているようにEU圏は経済状況の異なる国々が寄り集まっており政策金利だけをECBに任せているため、南欧諸国を意識するとそんなに簡単には利上げを継続できないという問題を常に抱えることになり、こちらも額面通りにユーロを評価できないという複雑な状況が続きます。
週明けはとにかく米国FOMCでドルの継続的上昇が維持されるのかが最大の注目ポイントになりそうです。
さすがにここからも利上げが進むことを考えると、噂で買って事実で売るといった動きにはならないことに注意を払う必要がありそうな1週間です。