財務省と日銀による介入が実施され、すでに1か月が経過しようとしています。
現時点でドル円は、全値戻しには至っていないものの、既に8割近くまで値を戻しており、週明けには再度160円を試しに行く展開が予想されます。
G7イタリアサミットに参加した神田財務官は、「必要に応じていつ何時でも適切な措置を取る」との発言を行っており、158円を超えた場合に防衛介入に踏み切る可能性が高まっています。
サミットの期間中は、イエレン米財務長官をはじめ米国金融当局の面々も議論を重ねているであろうことが予想されるため、見方によっては介入が実施しやすい状況とも言えます。
そうなれば、7円以上の急激な下落に直面することも十分に考えられるため、高値圏でのロングポジション保有は控えたほうが良さそうです。
月末リバランスに加え更なる介入が実施される可能性も
米系金融機関のリバランスに関する事前分析によると、為替市場では株式市場と同様に大商いが続いており、ドルストレートでリバランスの大きな巻き戻しが出るリスクが高まっているとされています。
特にドル円においては、月末に向け大規模なリバランスが予想されているため、ドル売り円買いの動きが強まる時間帯には注意が必要です。
また、日本株などで大規模なリバランスが発生した場合、リスクヘッジとしてドル円を売る動きが加速することも予想されますが、今回のリバランスは単なる月末とは異なり、半期決算を見据えたものであるため、3円から5円の巻き戻しが起きる可能性があります。
特に28日から31日にかけては、ドル円のマザーマーケットである東京市場の仲値やロンドンフィキシングの時間帯において、予想外の動きが出ることにも注意が必要です。
これに財務省の介入が加われば、下落がさらに増幅する可能性もあるため、月末に向けてドルのロングポジションを取るリスクは一層高まりそうです。
テクニカル的には160円が今年の上値になる模様
市場センチメントによるとドル円はまだまだ上値を試しそうではありますが、財務省がここから再度介入を実施するとは考えにくい状況です。
ただし、投機筋の円売りが膨らんでいるため、一度下落が始まれば途端に利益確定が広がり、ロング勢が一斉にポジションを投げてくる可能性もあるため、すぐに方向感を判断することは避けたほうがよさそうです。
また一部のエリオット波動分析者は、ドル円のピークは160円と予想しているため、介入とは別の力が働き自律的に下落する可能性も十分にるあため、相場が上方に向かう中でも、逆に動くというシナリオも常に考えておく必要がありそうです。
多数派を追随するだけでは勝てないのが為替市場
株式市場では、全ての株価が上昇し時価総額が増大するとともに市場全体が買いで潤う時期がありますが、為替相場においては誰かの利益は他の誰かの損失で相殺される構造になっているため、参加者全員が儲かる時期は存在しません。
ただ一度暴落が始まれば、参加者の多くが大損失を被ることは同じであるため、多数派を追随することが安全ではないということを常に認識しておく必要があります。
社会生活の中では多数派に属することが一つの処世術と思われがちですが、為替の世界においては、常に自分のトレードがマジョリティ(多数派)の中に収まっていないかを確認することが重要になります。
ユーロは引き続きドルに翻弄される展開か
ここ1か月のユーロドルは、月初にドル高が進んだもののその後は買戻しが進み、5月16日には一時1.0896まで上昇しています。
先週は一時弱含む場面もありましたが、1.0800台を下値に底堅い動きが見られました。
日足ローソク足は、主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上で推移しているため、大幅な上昇とまでは行かなくとも、さらに上値を試すことが予想されます。
円買い介入のリスクを考慮するのであれば、介入の影響を受けづらい存在であるユーロドルを取引することが得策と言えます。
今週は5月最終週となり荒れる可能性もあるため、方向感だけに頼らず冷静なトレードを心がけたいところです。