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ウォーレンバフェット氏が92才という高齢でありながら来日し、日本株への投資意欲を高める発言をしたことから日本株市場も大変な盛りあがりを見せています。

2020年8月、バフェット率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイが、1年以上かけて日本の5大商社株(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)をそれぞれ発行済み株式数の5%超まで買ったと発表したことからかなり沸き立ちましたが、今回は1200億円程度の円債を起債することからその規模の国内株投資が実現するのではないかと市場の期待は高まっています。
バフェットの来日は2011年以来で12年ぶりとなりますが、高齢にも関わらず来日した精力的な姿勢は驚きをもって迎えられています。

本邦勢がバフェットの国内投資に注目するのは無理もありませんが、最新の情報では130億ドルほどのキャッシュポジションを抱えてどこにも投資しないで保有しているので日本円の1200億円規模の投資はごくわずかなものとなり、ここからバフェットが何に投資をしようとしているのかが非常に気になるところです。
国内勢はバフェットが日本株のどこにフォーカスして投資を展開しようとしているのか非常に関心が高まっていますが、まったく別のスキームが展開される可能性も高まっています。
本邦の証券会社はバフェット投資をきっかけとして個人投資家の投資を煽る発言を多く繰り出していますが、バフェット投資はそうではないことが見えてきます。

バフェットの投資は相場の暴落時に劇的に発揮される

バフェットの真骨頂は相場の大暴落時に発揮されることはよく知られた話です。
最近では新しいファンドマネージャーを引き入れているためこれまでのバークシャーではありえなかったようなIT企業への投資も実現していますが、実は長期保有というのは見せかけだけで簡単に売却してしまうという気の短さも発揮しています。

さらに彼の過去の投資手法を紐解いてみると常にでてくるのが相場の大暴落で、誰も現金をもっていない状況下で破格の最安値で株を仕入れ、それを長期保有することで爆発的な利益をあげていることに気づきます。
2008年のリーマンショックの時にも米国の金融株をタダ同然の金額で引き取っており、直近では民主党政権イエレン財務長官下のPPT・プランジ・プロテクション・チームにも関わっているようで、暴落の局目では政府からお声がかかるという非常に特別な存在でもあります。
おそらく一般人が知らない様々な情報ももっていると思われ、彼の投資動向で最も気にしなくてはいけないのは日本国内投資ではなく米国株の暴落に伴う投資であることは間違いありません。

相場の暴落は近い可能性

このコラムでは既に何度もご紹介していますが、FRBが利上げを行っていた局面からリセッションが到来して逆に利下げに転じる段階では過去に何度も相場の暴落が起きているという事実があります。
2001年も2008年も同様の展開になっているため、単なるアノマリーではないことは鮮明です。

実はそのことはバフェット自身が最もよく理解しているはずで、彼がキャッシュポジションを決して減らさないようにしているのはやはり次の暴落に備えているからという見方は非常に強くなっています。
市場は秋口にでもFRBの利下げを期待しはじめているので、それに応じる形で本当に利下げが起きた場合には早ければ年内に暴落が起きる可能性も極めて高くなります。
銀行株もそれなりに保有するバフェットは金融機関の先行きについて余計なことは言えない状況にあるようですが、それでも米国の金融機関の破綻はまだ続くことを示唆しており、大きな変動はやはりこれから起こるであろうことが薄っすらと見えてきます。

正確に暴落が起きるタイミングは誰にも分かりませんが、ファーストインファーストアウトで最後まで相場に付き合わずに様子を見るといったバフェットの投資姿勢は銘柄選択以上に参考になるものとなるのではないでしょうか。
ここからのバークシャーの投資意向がどうなっていくのかは世界的に高い関心をもって見られていることになりそうです。