いよいよG7広島サミットが開催されます。
岸田首相にとっては悲願の広島開催のため意気軒高な状況であり、米国主導でウクライナ戦争に対する対応姿勢はロシアが悪であり戦争を止めるというよりもロシアへの制裁の強化とウクライナへの支援をより一層強化するような動きが加速し、恐らくそれにのっとったG7声明が発表されることが予想されています。
ロシアのウクライナ侵攻からすでに1年3か月以上経過し、金融市場はもはやこの戦争に関心をもっておらずリスクもほとんど織り込まずにここまで来ていますが、西側諸国のメディアがまともに報道しない水面下で結構驚くべき事が置き始めており、今後この戦争が想定を超えるリスクをもたらすことが危惧されはじめています。
英国が秘密裡に提供した劣化ウラン弾がロシアの弾薬庫爆撃で破壊・放射能流出か
5月14日、SNS上や米欧のオルタナティブメディアで凄まじい動画や映像が流れだし、ネットでは話題になった事件がウクライナで起きました。
それが西ウクライナのフメリニツキーでおきた弾薬庫の大爆発です。
一部メディアの報道ではNATOの弾薬倉庫がロシア軍の攻撃で破壊され大爆発が起きたものとみられていますが、詳細はウクライナ政府も認めておらず事実関係もはっきりしないまま時間が経過しようとしています。
映像上ではまさに核爆弾でも落とされたかのような凄まじいきのこ雲になっていますが、米系主要メディアでは全く流されずにこれを無視して広島サミットを迎えようとしている状況です。
もともとウクライナ領内には戦争に正式に加担し参加している訳ではないにもかかわらず、100人規模のNATO軍の指揮官レベルの人間が非公式に常駐し影の作戦司令部があるとは言われてきましたが、今回爆破されたのはそのNATOが保有・管理していた弾薬庫だったようでNATO参加国から供与された大量の弾薬をはじめとして英国が秘密裡に供与した劣化ウラン弾も破壊された可能性が高いようで、周辺地域では放射能汚染濃度が急激に高まっているといった情報もではじめています。
この劣化ウランの供与についてはBBCが既に英国がウクライナに提供したことを報道しているため事実のようですが、英国政府はオフィシャルにはこの事実を認めていません。
この弾薬庫には最新鋭の衛生通信システムのほかドイツや米国、デンマークそしてなぜか日本からのハイテク製品もあったようですが、一瞬にしてロシアの爆撃で500億円以上の損害がでたものと見られており、その被害金額も日本円にして500億円をくだらないのではないかという観測もではじめています。
そもそもNATO軍の指揮官がウクライナ領内にいることは公然の秘密で、そのNATOが同領内に弾薬庫を保有して西側諸国から提供されて武器弾薬の類を管理していたという事実は全く公表されていないため、西側メディアがこの爆発について報道することができないのはよくわかる状況となっています。
さらに英国の劣化ウラン弾の提供も水面下で秘密裡に行われてきたものだけに、それがロシアの爆撃でほとんど爆発し大量の放射能汚染が西ウクライナ領内で広がっているという話も表沙汰にはできないようです。
ただ、大規模な爆発があったことと放射能の汚染濃度が高まっているという事実は隠すことができず、今後NATOや米国がこの問題にどう対処していくのかが注目されます。
とくにNATO軍がこの戦争に公式的に深く絡んでくるかは非常に大きなポイントで、ややもすれば戦争拡大につながりかねないだけにここからの状況の推移が気になるところです。
NATO加盟国も一枚岩の結束がはかられなくなっている
足元ではハンガリーが欧州平和ファシリティ(EPF)によるウクライナへの軍事支援をEUの利益になるとは考えられないことから、拠出にストップをかけたというロイター報道がでています。
計画では来週月曜日、ウクライナに5億ユーロの軍事支援が予定されていたようですが、これも上手くいかない可能性がでています。
またハンガリーの安全保障専門家が、ゼレンスキーがロシア~ハンガリーの石油パイプラインを爆破することを計画していたことについて、「これはハンガリーゆえにNATOへの攻撃となりNATO条約第5条(集団防衛)が発動され、NATOはウクライナに反撃する」といった踏み込んだ発言をしており、NATO加盟国もウクライナを巡っては必ずしも一枚岩の結束がはかられなくなっていることが露見し始めています。
ゼレンスキー大統領は延々とロシアとの戦いを続けることを示唆していますし、今週も欧州の主要国に対して支援の物乞いのような巡業を続けていますが、戦争状況の現実からウクライナの敗戦という形で戦争が終結する可能性もではじめており、これを巡ってはEU圏、NATO加盟国内での激しい対立と分断を招くリスクが高まります。
ロシアの石油輸出もまったく減っていない
岸田首相はG7を前に機動的、効果的にロシアへの制裁を高めていくことを口にしていますが、オルタナティブメディアのSPUTNIKによれば足元のロシアの石油生産は日量960万バレルとサウジアラビアに次ぐ量になっており、まったく減産されていないことがうかがわれます。
つまり表面上はロシアからの石油を輸入しないことにはなっていますが、水面下では米国も欧州圏も延々と取引を続けていることが透けて見える状況です。
ウクライナを巡っては想定外の事態が示現するリスクに注意
G7広島サミットだけ見ると、恐らくG7はさらに結束してロシアに対峙するとともにウクライナへの支援を強めていくといった予定調和の話に終始すると思われますが、ここまでご紹介したとおり現実のウクライナ情勢は公表されている戦争の状況から各国の支援姿勢に至るまでかなり食い違いがではじめており、まったく想定外の事態に陥ることも十分に考えておく必要がありそうです。
ウクライナ側の敗戦と言う形になってもとにかく戦争が終わることに対してはプラスですが、逆にNATOが絡む形で戦争が激化するような場合金融市場にもネガティブな影響が出ることは意識しておきたいところです。