11月26日、東京タイムで突然ヘッドラインを襲ったオミクロンの感染騒動ですが、週明け11月30日にはモデルナのCEOが既存のワクチンではオミクロンに効かない可能性があるといったことを示唆してまたしても相場は大きく下落し、騒ぎは全く収まらない状況です。

オミクロンに関してはさまざまな情報が飛び交い、何が本当なのか誰の発言が正しいのか全く判断できませんが、テキストデータを読み込んではすぐにリスクオフの対応をとるアルゴリズムはそのタイミングで開いている相場から手あたり次第に株や為替を売っていき、それにほかのアルゴリズムが追随するという猛烈な売り浴びせを行うことからこの二回のヘッドラインがでた東京市場は必要以上に株が売込まれるというかなり特殊な状況に陥っています。

こうした流動性枯渇相場は一体どのようなときに示現することになるのかについてまとめてみました。

物理的に市場参加者が少ないときにはこうした動きがでやすい

先週の相場では25日が米国の感謝祭で翌26日も多くの市場参加者が休みで相場をパトロールしていたのはAIとアルゴリズムとなり、人が取引をしないのでビッドがほとんど入っていないという状況で一斉に売りになることから、完全にオーバーシュート気味に相場が下落してしまうという事態に追い込まれました。

つまり物理的に市場参加者が少なくビッドのオーダーもほとんど入っていないということになるとこうした激しい下落を引き起こすことがあるのです。

2019年1月3日、国内では三が日の3日目のお休みで関東圏では多くの方が箱根駅伝の復路のスタートがそろそろ始まるのではないかと思われていたような時間帯にいきなりドル円が瞬間的大暴落を起こしましたが、フラッシュクラッシュと呼ばれるこの手の暴落もアルゴリズム同士が引き起こす典型的な売り加速で、流動性が物理的参加者の不在により示現したときに大暴落となって示現することになります。

市場から資金が消えたとき、また殆どの参加者が取引を手控える時にも流動性枯渇

こうした流動性の枯渇は2000年のITバブルの崩壊時や2008年のサブプライムローン問題から多くの市場参加者が取引を手控えるといった時にも発生します。

サブプライムローン問題から多くの金融機関が破綻に追い込まれた際には市場に自由な資金が廻ってこなくなり、それがそもそもの流動性の枯渇を招き、売りしかない株式相場はいきなり大暴落に陥ります。

11月30日における本邦株式市場での午後2時すぎからのモデルナCEO発言報道による暴落は必ずしも流動性枯渇ではなかったはずですが、それでも一斉にリスクオフで株が売り浴びせさせられると必要以上に下落が進み、日経平均はその後の市場でも2万7300台まで売込まれるといった異常な取引となりました。

2020年3月以来新型コロナ関連で問題が起きても株式市場はほとんど無視して上げ相場を続けてきましたが、このオミクロン株にはかなり神経質になっており、ここからもまだ大幅下落が続く可能性は否定できません。

今回の度重なる下落ではかなりのプロトレーダーでも引っかかって損切を余儀なくさせられる状況が続いており、アルゴリズムがしかける売買では儲かる人がほとんどでないという特別な展開になっているようです。

本来12月相場はクリスマスラリーなどとも呼ばれるように上昇相場が続きやすくなりますが、果たして今年はどうなるのかに注目が集まっています。

もしここでご紹介したような流動性枯渇相場になった場合には買いで相場に入るのは注意が必要で、必ずストップロスを設定して自己防衛に務めることが必須です。

せっかくの年末の楽しい時期に妙なトレードで大損することがないように十分に気をつけましょう。