市場の注目を集めた1月のFOMCが通過し、今週はいよいよ本格的な2月相場がスタートします。今回のFOMCでは政策変更こそなかったものの、パウエル議長が3月の利下げについて矢継ぎ早に質問を飛ばす記者団に対し、その可能性がほとんどないことを断言する会見となりました。

1月末のリバランスも絡み、発表前から146円割れを視野に入れる相場展開となっていたドル円は、パウエル議長の会見後、147.440円レベルまで買い戻されました。

このままドル円の上昇が再開するかと思われましたが、1日には東京タイムの開始とともに再度売り込まれ、同日のニューヨークタイムでは利下げスタートを織り込んだかのように145.800円まで値を下げ、連日2円幅で上下動するという異様な展開となりました。

また、2日の金曜日に発表された1月の米国雇用統計で、非農業部門の就業者数は前月比で35万3000人増加となったため、FRBが早ければ今年3月にも利下げに踏み切り、年内6回の利下げを行うのではないかという市場の期待は打ち砕かれることとなりました。

先週の相場は、市場の思惑と経済指標の結果が綱引きする展開となり、米債金利は上昇しドル円は147円台後半まで値を戻し週の取引きを終えています。

週明けは、再度上昇軌道を確保し上値を試す相場展開となるのかが大きなポイントになりそうです。

 

1月末から2月2日までのドル円の動き

好調に見えるNFPの陰にパートタイム労働者増加という実態

2日に発表された米国雇用統計は、米国非農業部門雇用者数(NFP/ノンファームペイロール)の件数が大きく伸びる結果となっています。

しかし、増加しているのはパートタイム労働者であり、単価の高いフルタイムの労働者がリストラされパートタイムの仕事を得ているのが実状です。

一見すると、景気は堅調に推移し雇用機会も増えているかのように見えますが、実際のところその中身は毎月大きく変化しており、市場が認識しているほどいい状態ではないことが分かります。

週明けからは指標次第の展開、催促相場でドル円下落の可能性も

日米ともに次回の政策決定会合は3月となり、それまで政策変更は実施されないため、ここからは月次の指標をベースに相場が変動すると考えられます。

2月6日には日銀より12月分の毎月勤労統計が発表されますが、市場の期待通りに賃金上昇が確認されれば、緩和修正期待が高まりドル売り円買いが示現する可能性があります。

しかし過去の数字を見ると、それほど顕著な進展は見られないため、これに起因しドル円が円高へシフトするとは考えにくい状況です。

一方、米国では5日のニューヨークタイムに米・1月ISM非製造業景況指数の発表を控えており、前月比で改善が見られればドル高の再開が見込まれます。

また7日には米国貿易収支、8日には12月の経常収支の発表がありますが、市場予測を大きく下まわらない限りは相場に与える影響は少ないものと思われます。

こうして見ると、2月第二週は市場に大きな影響を与えそうな指標発表はないため、米債市場の金利の推移を見ながら、相場が上昇を維持できるのか或いはまたどこかで一転して下落するのかを探りつつトレードを行う一週間となりそうです。

先週の相場は、パウエル議長が3月の利下げの可能性は低いと明確に発言したにもかかわらず、依然として下方向を目ざす動きが見られました。

一部の市場参加者によると、この動きが市場からの利下げ催促なのではないかという見方もあるため、ここから3月までさらにドル下げ相場が続くリスクについても注意が必要です。

先週のドル円はまさかの146円割れを起こしたため、市場がその気になればまだまだ下値を模索することもあり得そうです。

さすがに催促レベルで140円を割り込むほど鋭い下落があるとは思えませんが、145円割れあたりまでは十分にあり得る状況であることを認識しておく必要がありそうです。

ドル円に比べすっかり覇気がないユーロドル相場

1月の為替相場はドル主体の動きが明確に示現したため、ユーロドルはいまひとつ覇気のない相場が継続することとなりました。

利上げや利下げについても、主軸で見られるのはどうしてもドルになるため、その逆相関となるユーロドルは、受動的な動きとなった1か月でした。

2月には大きな改善が見られればいいのですが、この動きはまだまだ続きそうで、3月までこのさえない推移に付き合うことになりそうです。

 

一週間のユーロドルの動き

米国がイランとシリアに報復攻撃を行い中東情勢悪化のリスクも

Photo Reuters

 

中東情勢では、ヨルダンの米軍施設で米兵3人が死亡した攻撃への報復として、米国がイラン革命防衛隊のほか、イランが支援する武装組織に関連するイラクとシリアの標的を空爆する報復攻撃を実施しています。

バイデン大統領は、米国人に危害を加えるならば確実に報復を行うと宣言するとともに、すでにイラクとシリアの85か所で大規模な空爆を実施しており、米国とイランが参戦することで中東情勢がさらに悪化するリスクが日々高まりを見せています。

市場はこの動きが本格的な中東戦争に発展するとは見ていないようですが、原油価格の高騰に拍車がかかれば、インフレ終息どころの話ではなくなるため、この地政学的リスクについては常に意識しておく必要がありそうです。