今週12日、5月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。
CPIは、FRBの政策に大きな影響を与える指標であるため、発表前から大きな注目が集まっています。
米国のインフレは、1年前に比べ沈静化しつつあるものの、FRBは利下げに対し慎重な姿勢を崩しておらず、指標結果が今後の方針を左右することは間違いありません。
21日には日本の消費者物価指数も発表されますが、こちらも日本にとって政策変更の材料となるため、結果発表が気になるところです。
そもそもCPIとは何か?
CPIとは、Consumer Price Indexの略で、日本語では消費者物価指数と言われており、経済の健全性やインフレーションの進行度を理解する上で重要な情報源となっています。
消費者が購入するモノやサービスの価格動向を表す指数で、具体的には物価が上がっているのか、それとも下がっているのかを調べる指標として使われています。
CPIとは、都市部に住む消費者が、商品とサービスで構成される「市場バスケット」に一定期間で支払った価格の平均変動率を測定したものです。
この市場バスケットには、食料品、住宅コスト、ガソリン、衣料品、医療、通信サービスなどが含まれます。
日本の場合、CPIは基準年の価格に対する品目ごとの価格比率を算出して指数化しています。
アメリカとは指数の種類や計算方法に違いがあるため、単純にその数値を比較することはできませんが、共通して物価の動向を把握する重要な指標となっています。
もちろん欧州や新興国でもCPIの発表はありますが、月次ベースで発表される米国のCPIが最も市場にインパクトを与えていると言うことができます。
CPIの役割
消費者物価指数(CPI)は、具体的には次のような役割を果たしています。
物価の上昇率を測定
CPIは、消費者物価の変動を定量的に評価し、特定の期間(通常は月次ベース)における商品やサービスの価格変動を示します。
多くの中央銀行はインフレ率2%を許容上限としており、これを超える上昇がある場合、株式市場にも大きな影響が及びます。
経済政策の判断材料
中央銀行や政府は、CPIを参考に金融政策や経済政策を調整します。
物価が急激に上昇している場合、中央銀行は金利を引き上げインフレを抑制し、逆にCPIの低下により利下げを検討することもあります。
米国FRBはインフレの兆候が見え始めると迅速に利上げを行い、現在では短期間で金利が5%を超える水準に達しています。
投資家の注目対象
中央銀行の政策判断に大きな影響を与えるCPIは、為替相場を大きく動かす要因になるため、多くの投資家が注目しています。
上の表を見ると、2023年初頭は6%を超える数値となっていますが、同年8月頃から下火になり、今年に入ってからは3%台付近を推移しています。
ただしインフレは1回だけではなく何度も訪れるとされているため、月次の結果だけで状況を判断するのは危険です。
市場では、月次CPIが低下しただけでインフレ終焉と捉えられ、利下げを視野に入れ始めますが、FRBのようにもう少し長いスパンで考えることが重要になります。
とは言っても、インフレが沈静化するまで、月次CPIに対する市場の関心は高いままであり、その結果に基づき相場が動くことは避けられません。
そのため、短期的な動きに振り回されないよう注意しつつ、月次CPIの結果を冷静に分析する姿勢が求められます。