先週は、FOMCと日銀政策決定会合の重大イベントが開催された一週間となりました。
FOMCでは年一回の利下げが示唆されたことによりドル円は上昇し、その後開催された日銀の政策決定会合では、国債買入れ減額の具体策が示されなかったことにより、とうとう158円台を突破する結果となりました。
日銀は14日の会合で、月6兆円程度の国債買い入れ額を減額していく方針を決定したものの、具体的な減額計画は、7月の会合に持ち越すこととなりました。
異例の事前予告には、国債や為替市場の不安定化を避けたい思惑が感じられますが、海外勢は理解に苦しんでいる状況です。
一方、FRB当局者はインフレ抑止に前向きな姿勢を堅持しており、このまま米長期金利高が続けばドル高に振れやすいとの観測もあります。
節目として意識されてきた158円を上回ったことにより、再度、為替介入への警戒感も高まりそうです。
財務省はすでに上値を抑える策を講じている可能性も
日銀政策会合の結果を受け、ドル円は一時158円台まで円安が進みました。
ただ158円を超えた時点で、市場には相当数の売りが出回っており、ここから簡単には上昇させないようなオペレーションが示現しています。
これがステルス介入なのか、それとも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によるものなのかはわかりませんが、財務省が5月に投入した介入額は、9.8兆円にも上っていることもあり、円安阻止に必至であることは間違いありません。
週明けはまたしても介入を警戒した相場展開となることが予想されます。
円安対応と景気対策に苦しむ日銀
国債買い入れの減額計画について、詳細の発表は7月の日銀会合に持ち越され、市場からは失望の声が挙がっています。
米国の利下げが後ずれし日米の金利差が縮まらない中、政策を小出しにし円安をけん制する姿勢を見せ続けることで、時間稼ぎをせざるを得ない状況に追い込まれているものと思われます。
日銀が持つカードの中で、最も円安緩和に効果があるのは利上げということになりますが、住宅ローン金利の上昇や企業の資金繰りなど、景気にも悪影響が及ぶため、利上げはそう簡単に実施できないのが実状です。
岸田首相から強く釘を刺されているとみられる植田総裁は、官邸での面会以降、円安については「十分に注視していく」と発言するに留まり、具体的なプランはなにも変更できないままの状態が続いています。
日柄的に急落する可能性もあるドル円
ドル円相場は157円台を推移していますが、日柄的にはそろそろ反落する可能性も高まっているため、上方向だけをみてトレードするのは危険な時間帯に入りつつあるようです。
一度、自律的に反落すると4円から5円程度の下落も考えられるため、常にロングで勝負するというトレーダーも注意が必要な状況です。
まだ売りの場面が続くユーロドル
ユーロドルは、6月4日に記録した高値の1.0916をトップに反落に転じ、今週末にかけては5月1日以来の安値圏となる1.0667まで急落しました。
強い売りシグナルとなる一目均衡表の三役逆転と、弱気のバンドウォークが成立し、地合いもよくない状況にあるため、週明けはさらに値を下げる可能性が高まっています。
フランスを中心とする欧州圏の政局不安定化により、リスク回避ムードが高まり、ユーロ相場は圧迫され、欧州株急落と欧州債利回り低下が懸念される状況となっています。
このリスクオフ相場は、フランス下院選挙が実施される6月30日まで続く事が予想されます。
大きなイベントは通過したものの、流れが大きく変わるとは考えにくい状況ですが、引き続き相場を注視し取引に臨みたいところです。