2月24日の東京タイム、米国のブリンケン国務長官がロシアからウクライナへ夜明けの攻撃開始を示唆し、朝からドル円は下げ方向に動きましたが昼過ぎに正式にロシアがウクライナに対して攻撃を開始したことが伝わり、ドル円はさらに下落して114.500円に接近するところまで下げました。
この攻撃は始まったばかりなので西側の報道が伝えるように全土を対象にした激しい戦争になるのか、また欧州を巻き込むほどのものになるのかは全くわかりません。
プーチン大統領はウクライナ東部のドンバス地方にいる親ロシア派地域の人々を守るため「特別軍事作戦」を命じたことを明らかにしており、「ウクライナの非武装化」などを目指すとしていることから局地戦になる可能性もありそうで、ここからの動きが非常に気になるところです。
東京タイムに開戦報道が流れたため日経平均は2万6000円を割って展開しており、NY三指数の先物も大幅安の動きとなっていますが、地政学リスクは基本的にトレンドを作らないことから戦局の詳細が判明すればそれなりに買戻しになる可能性もあり、迂闊に売りについていくのは危険な状態でもあります。
今回のロシアのウクライナ攻勢がどの程度、また、いつまで続くかによっては金融市場への影響は大きく変わることが予想されますが、為替で言えばユーロは地続きでリスクに直面する通貨であることから当面ユーロ安になることが容易に予想されます。
ドル円の場合有事のドル高もあることから一方的に円高にはならない可能性もあり、ここからの動向を注視すべき時間帯に入ってきています。
3月FOMCでFRBは本当に利上げできるのかも大きな注目点
ロシアのウクライナ侵攻はまだ始まったばかりですが、3月のFOMCの利上げを嫌気して下げてきた米株市場はさらにその下落を加速する状況となってきています。
もちろん地政学リスクの下げは一過性のものになる可能性が高まりますが、それでも想定外に下げた株価を目の当たりにしてもFRBがそれを無視して本当に利上げに踏み切れるのかどうかも大きな注目点になりそうです。
もちろんFRBとしての大義名分はインフレ退治が前提ですが、利上げをすればさらに株価が下がることが分っていて本当に利上げに踏み切るのかどうかは非常に気になるところです。
ここで安易に見送りするようなことがあれば当然市場はFRBが株式相場見合いで政策を打ち出していることを見抜かれてしまいますので、その後の金融政策にも相当な影響を及ぼすことになりそうですが、バイデン政権のことを考えると利上げを強行できるのかどうかはかなり怪しく、まさにパウエル議長の判断が問われることになりそうです。
ウクライナの穀倉地帯は破壊しない局地戦の可能性も
ウクライナは小麦、ライ麦、大麦等を大量に生産し、今やEUのみならずイギリス、中東の各国もそれに依存する重要な食料地帯となっています。
ロシアでもこうした穀物はかなり収穫されていますが、飼料用が多く実際にはウクライナ産を食用として輸入しています。
今回のロシアの侵攻でウクライナ全土が第二次世界大戦の戦争のように焦土と化した場合、戦争が集結しても今後数十年に渡って農地は作物を育てられなくなるとされていることは当のロシアも十分に認識しているだけに、全土での戦争にはならないのではないかという見方も広がっています。
ここからの戦闘を予測するのは相当難しいですが、短期に首都キエフが陥落し、新たなロシア寄りの政権が樹立されることになればあとは西側諸国の経済制裁が中心となり、それに対するロシアの報復が多くの国の経済に影響を与えることになりそうです。
2月にロシアが本当にウクライナに侵攻すると考えていた市場参加者はほとんど存在しておらずここからの金融市場は相当荒れそうな雰囲気ですが、その巻き戻しも意外に早くなることは想定しておくべきでしょう。