6月第2週為替相場は全く動かなくなり、実需がもっとも登場するドル円の東京タイムは1日に30銭の値幅すらない膠着相場に陥ることとなりました。

それでもロンドンタイムからNYタイムには多少の動意も見られましたが、NYタイムの後半は相場が上昇してしまったらそのまま下落しても下落したままの状態でアジアオセアニアタイムに戻ってくる始末で、為替を扱う個人投資家にとっては非常に苦しい1週間となってしまいました。

しかしよくよく金融市場全体を見渡してみますと株も債券の動きは緩慢であり相場全体が膠着した状況であることが理解できます。

株も債券も動かないとなるとさらにしわ寄せがくるのが為替ということになりますので、こうした膠着状態の先に何が起きるのかは注意深く見守る必要がでてきています。

週明けは日本時間の17日午前3時にFOMCの結果発表がありテーパリングや利上げについて何らかの示唆があるかどうかに注目が集まるところですが、すでにこのコラムでもご紹介した通りバイデン政権は大きな政府として巨額の資金を投入して経済を立て直そうとしています。

そのため多少のインフレが起きることは既に織り込み済みであり、FRBと連携してもそう簡単には緩和措置の終了を行うとは考えにくく、市場の思惑で債券金利が上昇し、ドル円が買われる動きになったとしても結局FOMCの結果を受けてまた金利下落、ドル円もそれと相関性をもって下落する可能性が高くなることを意識しておきたいところです。

ドル円は110円と109.200円以下にオプションがあって完全に膠着

ドル円は6月第2週110円から上と109.200円から下に大きなオプションがあったことからほとんど動きのない1週間を過ごすこととなったようで、週明けは徐々にこのオプションも解消していくことからどちらかに抜ける可能性に注意していきたい状況となっています。

テクニカル的に見ますと下げても108円台中盤を下抜けない限りは大きな下げを示現するとは思えないところにありますが、現状の材料では111円台を突き抜けていくだけの力もなさそうで依然としてレンジ相場が継続する可能性も考えておくことが重要になりそうです。

シーズナルサイクル的には6月は突出してドル高が進むことは過去20年でも殆どありませんから上昇したところは下目線で考えてもいいのかも知れません。

ドル円1時間足

ユーロドルは引き続き上値が重い展開か

一方ユーロドルはECBによる早期テーパリングの予想がかなり後退していることから後はFRBの政策とのコントラストで上がるか下がるかが決まりそうな状況です。

しかし引きつづきユーロ高に対するECBのけん制は強く、5/25に記録した約4ヵ月半ぶり高値1.2267をトップに反落してからは週末にかけて約1ヵ月ぶり安値となる1.2093まで急落する場面もあり、週明けは上方向よりも下方向への下落に注意したいところとなっています。

こちらも17日のFOMCの結果次第の状況であることは変わりなくそれまでは相場は小動きになるかもしれません。

ユーロドル4時間足

いずれにしても金融市場は動きの取れない状況が続いており、米株市場のミーム株の上下動や仮想通貨の相場以外は非常に動きが緩慢となっており、プロのトレーダーでも取引きに苦慮する時間が続いています。

ただ、こうした相場は動きはじめると思いもかけない方向に大きく振れることが往々にして発生するものですから、引き続き注意深くチャートを見ていつでもトレードできるような臨戦態勢は維持していく必要があります。

FOMC発表後には大きな巻き戻しがでることもありえそうですから、ポジション管理はしっかりと行ってイベントに備えることが肝要です。