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エルサルバドルがビットコインを法定通貨として9月から利用する件に関して、日本政府はビットコインが外国為替に相当せず、暗号資産に該当するとの見解を示していますが、やはり既存の仮想通貨が法定通貨的扱いを受けるのには相当高いハードルがあることが明白になっており、FXと仮想通貨の間にはかなり深く超えられない溝があることもみえはじめています。

限定された国であれビットコインが法定通貨となった場合、日本の資金決済法において外国通貨になるのではないかという指摘に対して日本政府が回答したもので、エルサルバドルのビットコイン法の中では法定通貨が通常備えている強制通用力が免除される規定があるため、BTCは外国通貨には当たらないというのが今回の回答理由となっているようです。

強制通用力を規定として加える国があれば外国通貨として検討せざるを得ない状況になることも考えられるだけに他国におけるビットコイン法定通貨化の動きがさらに注目されることになりそうです。

そもそも本当にビットコインはエルサルバドルで日常的に利用できるのか

エルサルバドルでは9月からこの法律が実施となるようですが、貧困国で国民がすべて金融機関の口座を保有しておらず、さらにドルが法定通貨といっても国が貧しすぎて米ドルを十分に確保できないといったことからビットコインの利用に大きな期待がかかる状況となっています。

しかし小さな金額の小売売買から比較的金額の張るものの決済にいたるまで本当にビットコインが日常的に送金決済に適した働きをすることができるかどうかは非常に大きな疑問です。

例えば対ドルでビットコインが年間20%程度までの変動ならばなんとか通貨として使えると思いますが、1日に40%も変動するようなことが続けば商売の売り手も買い手も損するばかりで実際にはまったく機能しないことさえ考えられる状況です。

ブロックチェーンが衆人環視でデータを共有することで安心安全な取引きを実現するという理論は広く理解されていますが、日常的な利用によるトランザクションの爆発的増加に本当に対処できるのかどうかは実証化されていないのが現実です。

実際に稼働してみて全く機能しないことが露見すれば逆にビットコインのバリューを著しく低下させかねないだけに、こうした法定通貨化は厳しい仮想通貨の送金決済能力チェックの場として注目されるところです。

米国では民間企業のBTC保有や決済に様々な問題が露呈

米国における既存の民間企業会計ではビットコインのような資産を企業が保有することなどまったく想定されていなかったことですから仕方ないことですが、テスラやマイクロストラテジーのようにビットコインを購入して保有し続ける場合には長期の無形資産として扱われ、商標や特許権のように長期保有は年々評価額を減少させることになります。

これはビットコインの価格が上昇しても同様の扱いになりますから、とにかく売却して利益を上げない限りは帳簿上の資産は減少の一途を辿るという理不尽なことになってしまいます。

さすがに米国財務会計基準審議会はこれがおかしい扱いであることは判っているようですが、今後どのような扱いになっていくのかはまだこれからの事態の推移を見守るしかないのが現実です。

当然、主要国と横並びの発想しかない本邦でも同様の問題が起きるのは時間の問題で、可及的速やかな修正が必要です。

足もとではテスラが条件付きでビットコインによる販売決済を認めるような動きをみせていますが、そのテスラでさえもビットコイン決済では問題を抱えているようです。

先般のランサムウエアによる米国パイプライン攻撃の時にも明らかになったように、ビットコインというのは決済直後に即時法定通貨に交換しないことには損失が生じることにもなりかねないのです。

これが月に1台程度の話ならばたいしたことはありませんが年間で1000台、1万台ともなればその決済にともなう損失をどう決算報告書に反映させるかは大きな問題になります。

このように実社会ではすでにビットコインは簡単に使えるかのような気分になりますが、実は会計上も様々な問題が残されているのが実情です。

エルサルバドルで実際に利用が始まった時にどんな問題が生じることになるかは非常に高い関心を集めることになりそうです。

仮想通貨はFXのすぐ隣にある商品と思いがちですが、実はFXとは近くて遠い川に挟まれていることを改めて感じさせられます。