8月に入ってから為替相場は異なる材料起因でこれまでになく荒れた動きを継続中です。

先週週初日銀会合の結果を受けて141円からスタートしたドル円はさらに円高には進まず逆にドル高方向に進行することとなりました。
まずなにより緩和継続を唄いながらYCC運用の柔軟化を口にした日銀が10年債利回りが0.6%を超え始めた途端に臨時の指値オペ実施を宣言し、ドル円が突然143円台後半にまで飛びあがる相場となったことはまさに市場に意表をつく展開となりました。
日銀会合後の会見では植田総裁がやんわりと円安阻止を狙っているかのようにも見られましたが、結局のところ無闇な円高を起こさないことがこの呪文のような不思議なYCC運用の柔軟化に込められていたようで、上述の突然の指値オペは完全にドル円を押し上げるドライバーとなってしまいました。

緩和的な金融環境を維持しつつ市場機能の改善を図り、より円滑にイールドカーブ全体の形成を促していくため、長短金利操作の運営を一部見直すことを決定したという日銀の説明では何も起きませんでしたが、意表をつく臨時買いオペ実施に市場がざわめく事になったのはいうまでもありません。
先週一週間日銀の政策を巡っては専門家から様々なコメントが明らかになりましたがどれも憶測の域を出ていないのが実情で、本当になにか意味があったのかという疑問は依然として残る状況になっています。

ドル円一週間の動き Tradingview

市場はYCC運用の柔軟化という日銀の訳のわからない政策変更では結果的に円高に走ることはありませんでしたが、その直後を狙うようにフィッチレーティング社が突然に行った米国債の1ノッチ格下げは米株よりも日経平均を2日で1300円以上下落させる要因となり、これが発表された直後の東京タイムでは大した影響がなかったものの、その後のロンドンタイム以降では案の定ドル円下落の引き金となってしまいました。
現実的にはそれほど大きな下落ではありませんでしたが、やはり格下げはそれなりの影響を相場にもたらす結果となることを市場に示す形となったようです。
こうした上下動は市場参加者には非常にわかりにくいものとなってしまい、この相場の思いもかけない動きに翻弄されて上下動から思わぬ損失を受けた個人投資家も多かったようです。

週末金曜日の米国雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比18万7000人増加(予想20万人増)、失業率は3.5%に低下、平均時給は前月比0.4%増、前年同月比では4.4%増賃金は予想より伸び、失業率低下で強い労働市場を映す内容となりました。
その後ZeroHedgeが開示した情報ではパートタイムの雇用(週に1時間でも働いた人間を加算)が+972,000であるのに対し、フルタイムワーカーは案の定-585,000であり、さらに掛け持ちの複数以上の仕事をもっている輩は+118,000ということでコアになるフルタイムの労働者は実は激減していることが判りましたが、ここまでよろしくない状況であることを正確には把握してはいなかったものの市場はFRBの利上げ観測が緩和しドル円はとうとう141円65銭まで下落することとなりました。

4日金曜日一日のドル円の動き

相場に思わぬ変動はつきものですが、上述の先週の材料だけでドル円が3.9日円以上上下動するのはさすがに驚きの状況となり、改めてトレードの怖さを思い知った方も多くいらっしゃると思います。

今週は夏枯れシーズン突入で低ボラ展開か

テクニカル的にドル円を見ますと週末にかけての下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な下落が見られましたが、よほど新しい材料が飛び出さない限りは下値も堅そうで140円から144円が値幅として考えられるところです。
すでに夏休みもハイシーズンに突入しており、市場参加者はさらに減少する低ボラティリティ相場の継続が見込まれるところですが、8月10日には7月消費者物価指数が発表されるのでこちらに注目が集まりそうです。
ただ市場参加者が劇的に少なくなるため結果を受けて思わぬ方向に大きく動くことも考えられ、注意が必要となりそうです。

一方ユーロドルは7月18日に1年5カ月ぶり高値1.1277という高値をつけてからというもの多少の上下動はあっても下落傾向に転じており、週末雇用統計でドル安からそれなりの反発には転じましたが、上方向には相当なレジスタンスラインが並ぶ状況でドル次第で上値が重くなる展開が予想されます。

ユーロドルここ一か月の動き

ユーロ自体に強い主体性があるわけではないので思わぬ上下ブレに遭遇することもありそうな状況です。
例年8月相場にはまったく想定していなかったようなことが起こることが多いため、何もないと高を括っていると酷く痛い目にあうことが多くなります。
一方的な思い込みや妙なレベル感だけで売買するのではなくやはり精査してポジションをもつ努力を心がけたい一週間となりそうです。