5月実質最終週となった第四週、久々に相場が動きはじめることとなりました。
前半は小動きだったドル円は27日に109円台に乗っかる動きとなりましたが、その後も下がらないまま推移したあと午後8時すぎに上方向に吹き上げはじめ、ショートのストップロスを次々とヒットしたあと109.900円台をつっかけるところまで上昇することとなりました。
翌日の東京タイムでは上値も重かったものの大きく下がることもなく、結局28日NYタイムに向けて吹き上げて一時110円を突破して110.200円レベルまで上昇したものの110円に観測されていたオプションが巨大だったようで猛烈な買戻しからあえなく109円台に下落し、週末ということもあってあとは下げる展開で109.800円レベルで週の取引きを終えています。
チャート的にはまだ上を狙いそうな状況ではありますが、実需の売りも110円台には相当並んでいるようでここからどこまで上値を試すことができるかに注目が集ります。
ただ、この上昇はドルストレート全般にドル高が起きているわけではなく、ドル円だけがドル高に動いた経緯があり、果たしてどこまでもつのかにも大きな関心が集まるところです。
また先週の相場でひときわ上昇が目立ったのはポンドでBOEのブリハ委員が同じく27日の講演でコロナ禍の労働市場回復が順調に推移すれば来年の早い時期の利上げも可能になるだろうとの楽観的な見方を示したことから、その直後からポンドは対円、対ドルで大幅に上昇することとなり、利上げやテーパリングを鮮明にする通貨が明確に上昇することを見せつけることとなりました。
ただし、この話しはあくまで来年のことでありコロナ禍の収まり具合次第ということもあって週明けの相場は高止まりはするであろうもののここからさらに上昇を決め込む形になるかどうかはかなり不鮮明な状況です。
ただ中央銀行関係者の利上げにまつわる発言には相場も敏感でただチャートだけで判断すればいいという訳ではないことを改めて市場参加者に知らしめることとなりました。
ドル円は週明け引き続き上昇がどこまで進むかを確認する展開
ドル円はチャート的にもさらに上昇を試す一週間になりそうですが、現状では110円に相当大きなオプションが控えているようで110円を超えても簡単に売り戻されることとなっていることに加え、本邦の実需輸出筋が久々に返り咲いた110円から上にはそれなりの売り切り玉を並べてきていますから、相当な力を入れて買いあがりませんと、先週のようにストップロスだけで買いあがることは難しそうな状況にみえるのが正直なところです。
またシーズナルサイクル的には6月はドル円はゆるやかな円高にシフトしやすい時期でもありますから111円を超えてさらに上値を試す勢いがでるかどうかは不透明で、逆にどこかが明確な戻り売りの場所として機能する可能性も意識しておく必要がありそうです。
ユーロドルは下落方向に注意の一週間
ユーロドルもテクニカル的にはかなり強い地合いを発揮していますが、ファンダメンタルズ的に考えますとECBが早期にテーパリングを行うことは考えにくく、BOEの動きとは逆さまに米債の金利が先に上昇する動きとなった場合にはユーロドルとしては下落方向に動くリスクが高くなります。
ラガルド総裁が口にしているようにインフレが一時的なものを裏付けるような経済指標が出た場合には確実に対ドルでユーロが下落しそうで引き続き経済指標の動向にの注意が必要となります。
週末金曜日には早いもので5月の米国雇用統計が発表になりますが、前回は番狂わせの大幅に悪化した数字がでてきただけに今回が引き続き似たような状況になるのか改善するのかにも注目が集ります。
為替相場は早期テーパリングが期待できる通貨、利上げの可能性が高い通貨が非常に強く買われるという様相を呈していますので、チャートだけではなくこの視点で常に情報を集めることが重要になりそうです。