米国経済に果たしていつインフレが訪れることになるのか、またそれがFRBの言うように一時的なものに過ぎないのかは米金融市場にとっても非常の大きなテーマになりつつあります。

そんな中で足もとの米株相場は粛々と史上最高値を更新し続けるというこれまでにあまりお目にかかったことのないような動きをしています。

直近の米国市場を見ていますと実態経済で進むインフレ以上に米国では株と債券、さらに不動産にインフレが進んでいるようです。

一部の投資家からは果たしてこの状況はいつまで続くのか、また終了するとなるとどういう終わり方になるのかについて非常に強い懸念が示されるようになっています。

こうした状況は過去にお目にかかったことがなく、あえて言えば80年代後半の日本経済がこれに近い状況であったといえます。

これが本邦型バブルの終焉を迎えることになった場合には市場へのダメージは甚大なものになることが危惧されますが、ほとんどの市場参加者はFRBが緩和を継続さえすればこの状況が未来永劫に続くと錯覚しているようです。

しかし10年~11年継続している絶好調の相場はいよいよ最終局面にあり、我々はそれを垣間見ている可能性も高くなっているようです。

Photo Reuters https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-23/QV4KZJDWRGG201

バブル崩壊論者である米資産運用会社グランサム・マヨ・バン・オッタールーの創業者であるジェレミー・グランサムもまさにこのことを指摘しており、投資家は過去11年間の強気相場のフィナーレを見ているとしています。

同氏はミーム株の大幅上昇についても非常に手厳しい批判をしており、既に相場は無茶苦茶な状況になっていることを強く指摘しています。

悲観論者がいくら警告を発しても迂闊にはショートを振れない相場

リーマンショックから10年が経過した2018年辺りからはいよいよ米国の金融市場発で大暴落が再来する可能性を多くの識者が口にしてきましたが、実際にはそうした危機が訪れるたびにFRBが過剰とも思われるような過去に例をみない緩和措置を実施し資金をばらまくことで相場のクラッシュを免れる措置を行ってきました。

その結果、FRBの資産総額は過去にないほど大きな金額に膨れ上がっていますが、1ドルの経済成長を実現するためになんと17ドルもの資金を供給することになっており、投資対効果は著しく低い状況に陥っています。

しかしここから米株が下落した場合には日銀と同様に個別株のETFを購入することで株価三指数を押し上げるという観測もあり、簡単にはこの中央銀行主導のバブル相場は終わらない可能性が高まります。

こうなると相場が危ないからといって簡単にショートを振るわけにもいかず、投資家としては慎重な行動が求められることになります。

ただこうした今までにないような緩和措置の履行による市中へのドル提供は未来永劫に続けられるものではなく、本格的なインフレが到来すればFRBも政策の継続が難しいことになるであろうことは間違いのない状況です。

それが判っているだけに市場は米国のインフレ進行状況を酷く気にするようになっていますが、それに反して米債市場の金利は多くの投機筋の買い戻しもあってか金利が一気に下落するというかなりパラドキシカルな状況になっています。

ここから相場がどうなるのかは引き続き細かくチェックしていかなくてはなりませんが、非常に理解しにくい時間帯が到来していることを強く感じさせられます。

もちろん今日の明日で暴落がやってくるとは思えませんが、我々もこの相場をどこで降りて巻き込まれないようにするかを真剣に考える時期が到来しているようです。