11月22日ホワイトハウス、バイデン大統領は正式にパウエルFRB議長の再任を発表しました。

またもう1人の候補であったブレーナード理事は副議長へと昇格することなっています。

この発表を受けて米株は一時的ではありましたがNYダウが300ドル近い上昇となり、ドルも対円、対ユーロで大幅上昇になりました。

ただしNYダウのほうは上昇は一時的で終値ではほぼ上げを失うという動きになっています。

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市場ではパウエルの再任によりFRBの政策がこれからも同じように続くことにかなりの安堵感があるようですが、実際の政策についてはパウエルが議長でもブレーナードが議長でも違いが出る可能性は低いです。

とくに利上げに関してはバイデン政権の意向を反映せざるを得ず、インフレがさらに進行しても簡単に利上げが実現するとは考えにくい状況が続きます。

米国の連邦債務はすでに日本円で3300兆円

80年代レーガン政権の時代には双子の赤字が大きな問題になりましたが、当時の連邦債務は100億円程度でした。

ところが足もとの米国連邦債務はなんと日本円で3300兆円にものぼっており、バイデン政権のインフラ投資法案可決でさらに大きくなろうとしています。

しかもこの債務のほとんどは赤字国債の発行でまかなわれており、ここから金利が上昇することになれば政府の金利負担もかなり大きなものになるので、なんとしても利上げを避けたいというのが政権の本音に見えます。

また金利の上昇は株価の下落の大きな要因となるので、来年秋に中間選挙を控えているバイデン政権にとってはできるかぎり避けたい状況であることも重なります。

そうでなくてもバイデン大統領はかなり支持率を落としており、来年の中間選挙で負ければ完全にレームダックになることは間違いなく、党を挙げてそうした状況を阻止するためにもFRBに利上げは出来る限り後にずらすことを要請してくるのは間違いありません。

今回なんとか続投が決まったパウエルがそうした政権からのリクエストに応えざるを得ないのはもはや必須で、インフレが一時的でないことがはっきりしてもどこまで利上げを引き延ばすかが大きな政策上のポイントになりそうです。

市場ではパウエルの続投で利上げタイミングが早くなるといった見方も出始めていますが、米国の状況はそれどころではないことをしっかり認識する必要があります。

ブレーナードは金融規制・改革に専念か

今回副議長に指名されたブレーナードはオバマ時代から非常に期待されてきた民主党の秘蔵っ子的存在で、政権意向に沿う形で緩和を継続するとともに金融機関に対する規制改革にも本格的に取り組むことが予想されており、パウエル続投だからすべてが今まで通りとはいかない状況です。

このあたりはウォール街の思惑とは異なるアウトプットになることも予想され、とりあえず株高ドル高となったご祝儀はそう長くは続かないでしょう。

実際NYダウは300ドル近く上昇しましたが結局下げて終えており、S&P500やNASDAQは金利上昇で下落の展開となっています。

ただ、市場はなにかあればFRBが緩和措置を持ち出してくるので株は簡単には下げないという楽観論が広がっており、これがいいのか悪いのは判りませんが、そう簡単には株価は下落せずに推移しそうです。

市場の懸念事項が一つ片付いたことからここからの相場が果たしてどのように動いていくかに市場参加者の関心が集まっています。