先週末大きく下落した米株に連動するかのように、週末に向けて仮想通貨全般が大幅下落となりました。
年末にはビットコイン800万超といった調子のいい予測も出ていましたが、既存のレガシーな相場が下落すると最近では必ず巻き添えを食うような相場展開になってしまっています。
CNNの恐怖と欲望指数を真似て仮想通貨全般の恐怖と欲望指数を示しているAlternative.meのインデックスではすでに25を示しており、完全に強烈な恐怖の領域に入っていることがわかります。
ある程度底値の見えてくる株式指数の場合にはこうした恐怖指数がマックスに近いところで買い向かうというのもひとつの戦略になりますが、仮想通貨の場合は最悪無価値化まで突き進むリスクもあるのですべてが買い場としてワークするわけでもなく、危機感は非常に高まることになるのです。
理由もはっきりしないまま上昇したり株価の下落に着いて行くように大きな下げを示現したり、一体この市場にはどのような力が働いているのでしょうか。
今回はそこに触れてみたいと思います。
ミンスキーモーメントになれば相場は全部売り
相場には市場参加者が恐怖感から売り場の出口に殺到する瞬間というものがよく見られます。
一般的にはこうした状況をミンスキーモーメントと呼びますが、先月26日東京市場でほとんどアルゴリズムしか市場に存在していない状態で売りが売りを呼んだのも、ある種のアルゴ主導のミンスキーモーメントだったのかもしれません。
またリスクパリティファンドのような存在は一部の商品価格が大幅に下落した場合、まさにリスクパリティの名のように事務的に売り、損切りをしてくるので一時的にせよ相場は驚くほど下落することになります。
この場合個人投資家で過度なレバレッジを賭けている向きは株や為替などの商品の暴落でいきなり追証を求められることになり、結局金でもビットコインでも他の株式でも利がのっているものをすべて売り崩す動きを加速させることになります。
これが暴落時の全部売りの正体です。
ただ、今回の株価の下落が仮想通貨に全部売りを強いているのかはよくわからず、自律的に売りが加速している可能性も否定はできません。
仮想通貨はほぼ6割の参加者が仮想通貨FXで参入していることも暴落の要因に
2017年末に大きく上昇したのにその後年明けにビットコインが大暴落をしたのは記憶に新しいところですが、当時から仮想通貨を現物で売買するのは約4割程度で、国内では6割以上がレバレッジを賭けて売買する仮想通貨FXのユーザーであったことがわかっています。
こうした仮想通貨FXユーザーの場合、相場が一気にビットコインで100万以上下げれば確実に強制ロスカットを食らうことになり、その強制ロスカットの執行時間にまた大きな下げが出るといった悪循環に入ってしまいます。
この週末のビットコインをはじめとする仮想通貨の投げのような瞬間下落の原因はまさにこれで、4日の早朝ビットコインは一時4万2296ドルに下落するといった激しい動きを見せることになりました。
しかし強制ロスカットが入ればそれ以上の下落は進行せず、一旦値を戻すといった動きになってきています。
こちらは仮想通貨独自の取引事情から引き起こされる下落ということですが、正直なところ下落には複合要因が相互に機能していることがほとんどで、今回の下落の理由を特定するのは極めて難しくなります。
どうやら独立した相場でないことは間違いなさそうな状況
ビットコイン一つとってみても本来は特定国の経済状況に左右されるものではありませんし、インフレヘッジとして強く機能するといった評価も高いですが、実際の相場を見てみると結局株が大崩れしてリスクオフになるのと一緒に下落しており、なにが理由で上昇するのかは依然わからないものの結局相場暴落ではほかの商品とともに奈落の底に落ちていくことだけは事実として認識できます。
これがかなり知れ渡っているからこそリスクオフでは仮想通貨全般が激しく売り込まれることになっており、いつまでもこの状態が続くとなると仮想通貨に対する投資もかなり薄れていくことが考えられます。
海外FXでは国内で取引できないような通貨ペアも上場されており、選択肢は相当幅広くなっていますが、実際これで儲けるというのはなかなか難しいものであることをつくづく感じさせられます。
ここから年末に向けて回復するのかさらに落ち込むのかが注目されるところですが、引き続き十分に注意しながら最悪の場合強制ロスカット以前にしっかり損切する勇気が必要です。