12月第二週の経済指標でもっとも市場が注目したのが米国のCPIでした。

前月の11月、10月分の発表で年率6.2%とあきらかに大幅なインフレ傾向を示した同指標数字だでしたが、11月分がさらに上昇するようであれば11月同様今回もドル円は暴騰、米株は大幅下落が再現されることから市場は発表前に為替を中心にして激しい思惑取引となりました。

ドル円15分足推移
ユーロドル推移

まずドル円やユーロドルは今回さらにいい数字が出る可能性が高いことから発表前にどんどん買いあがる動きを見せましたが、結果期待通りの数字が出ても今度は売込まれることとなり、噂で買って事実売りを 地で行く相場展開となりました。

ひとつは米債金利が発表後下がり始めたことが原因と思われますが、取引をしていた個人投資家にとってはよくわからない相場になってしまいました。

上の15分足のチャートを見てみると、発表前にドルは大きく買われましたがその後は買い上げられる前にまで突き落とされる結果となっており、短期で売買しきれた向きはなんとか乗り切れたと思いますが、11月同様のドル高を期待した向きには全く当て外れの動きとなってしまいました。

ただ、指標が示す数字は一過性のインフレとは言えず、この数字を事前に掌握していたバイデン大統領がしきりに原油価格の下落がこの数字には反映していないと発言していましたが、この1年でみても米国経済はインフレが急激に進んでおりしかも景気も回復しなくなっていることから、これがスタグフレーションである可能性も非常に高くなっています。

これを受けてテーパリングのスタートを決めたFRBが14日、15日のFOMCで果たしてどのような政策を追加で発表してくるか、あるいは示唆するのかに注目が集まるところです。

市場はすでに織り込み済みで株も全く下がずS&P500は最高値更新

同じような市場環境でもあらかじめ参加者がそれを折り込んでいると前回と同じようには動かないというのが今回10日のNY市場における相場展開の教訓となったようで、ドル円は吹き上がることもなく、米株も必要以上に売込まれることも発生せず、反対にS&P500は市場最高値更新という皮肉な結果を示現することになりました。

AIやアルゴリズムの取引はこのあたりの問題をどう認識していたのかわかりませんが、相場では同じことはそのまま再現されることは二度とないという点は肝に銘じるべきものがあったようです。

為替は11月の発表段階で112円後半からいきなり吹き上げたという実績ができていたので、今回もそれを意識してかなり事前に買い上げられた感がありますが、感謝祭の暴落以降114円台に回復することなく上値は徹底的に叩かれてしまう相場に変わってしまいました。

12月のドル円相場は月間の高低差で言うと上昇と下落は半分半分ぐらいの確率ですが、11月最終週に115円中盤まであげてその直後に一気に3円下落するというのもレアな相場になっており、週明けからさらに市場参加者が減る時期になるのでここから相場がどうなるのかを多くの市場参加者が気にしているものと思われます。

ドル円は完全に相場の方向感を失っている状況

12月に入ってからのドル円相場は上値が驚くほど重く、とは言っても112円台中盤は相当強固な買いが入っていることからその間を行ったり来たりの時間が非常に多くなっています。

東京タイムはドル需要もそれなりにあるので比較的上昇して推移することが多いのですが、ロンドン勢が参入すると連日売り込まれる形が続いており、それでも113.200円を割り込まないとNYタイムの後半にショートカバーが出て値を戻すというやりにくい状態が延々と続いています。

週明けは各国の中銀会合ウイークになるのでまたそれぞれの政策をめぐって上下動が繰り返されることになると思われますが、大きく儲けられるようなチャンスが到来することはあまり期待できない時間が続きそうです。

大手の米系ファンドは株からも撤退気味の状況で米国は個人投資家頼みの動きになっているようですが、ロビンフッダーの動きにも微妙な変化が現れており市場参加者減少の中では一段と注意が必要です。