1月12日のNYタイムで米国のCPIが発表されましたが、前月比7.0%とかなり強い数字が出たにも関らず発表直後からドル円は売られ始め、一旦115円で食いとどまる動きを見せたもののその後はさらに崩れて114円台に突入、13日の早朝四時過ぎには114.380円まで下落するという異例の展開になりました。
その後も低空飛行は続き、同日のNYタイムには114円すれすれまで下落しましたが下げ切ることはできず、結局14日の東京タイムにはさらに下値を模索するかのように113円台に突っ込み、東京時間中に113.637円まで下落しました。
その後一旦ショートカバーも出ましたが、NYタイムに再度下落して113.479円まで下落したものの下値には買い向かう向きもいて、その後米10年債金利が上層して1.788%を超える動きとなったことから、114円台前半に復帰して週の取引を終えると言ったかなり奇異な展開となりました。
市場では様々な後付け憶測解説が飛び交ったが結局どれもしっくりしない状況
市場ではCPIの数字が期待ほど上昇していなかったことから米債金利が上がらず一定の投げが出た、マクロ系ファンドがドルストレートを広範に売り戻したことからドル円もそれに巻き込まれたといった見方も出ましたが、114円台に下落してからの下攻めはかなり激しいものがあり、単なるリカクや投げというよりはさらに感情的に相場を下落させようとした向きが存在していた印象がありました。
NY市場明け、米債金利はさらに上昇しドル円も114.200円台まで回復しているので、今週後半の動きはかなり理解しづらくなってしまいました。
誰かが売ったから、あるいはロングを投げたから下落した相場であることは間違いありませんが、どうしてそういう行動になったのかは依然としてわからないままの状態です。
後半のドル円の下げに関係したこととして一つ気になるのは、日銀がインフレ目標達成前の利上げが可能なのかという議論と情報筋の話として報じられたことですが、この報道以降日経平均は下落を加速させることになり、これとセットでドル円相場が下落した可能性はありそうです。
金利上昇局面では確かに初動でドル円が売られることもある
先行き米国の利上げが行われることがわかっていてもドル円が上昇するとは限らないという状況は過去にも何度も示現しています。
米債金利が上昇するということは債券が売られることを意味しており、外人投資家の場合ドルを売って手元に入った資金で自国通貨を買う動きになることを考えておく必要があります。
たとえば本邦機関投資家で米債を保有している向きは金利こそ上がっても額面の評価額がひどく低下することになるので、売却して資金を円転することは十分に考えられます。
こうなると一時的にドル売り円買いが生じることになるので、米債金利は上ってもドルが売られるという局面になることがある点には注意が必要です。
また、金利上昇は株式市場に極めて大きな影響を与えることになるので、株価の下落からリスクオフで円買いが進むことも考えておかなくてはなりません。
ここのところの米株安は完全に円買いに繋がっており、これがさらに加速する可能性は十分に考えらえます。
ここから暴落ということになればドル円は上昇するよりもまず大幅下落に陥る危険性を想定しておかなくてはなりません。
また利上げが現実に行われなくても事前に相場がそれをすべて織り込んでしまうと、本当に利上げが実施されても通貨は上昇しなくなるといったケースも市場ではよく見るパターンです。
昨年末RBNZが利上げを行ったときも市場は事前段階で100%利上げを織り込んでいたことから、事実売りのような形で逆にNZドル円が下がってしまうという場面が見られました。
ドル円の場合まだ年間4回の利上げを完全に市場は織り込んでいませんが、これがすべて織り込まれてしまうとその時点でもう上昇しなくなる状況になる可能性はかなり高くなりそうです。
ただし今回ドル円がいきなり大幅下落となったのはここで取り上げたような状況とはまったく別物のようで、投機筋の全く異なる思惑が働いて相場が下落した可能性が高そうです。
このように一筋縄ではいかないのが為替相場なので、常に決め打ちせずにしっかりとした相場状況の確認が重要になることが教訓となりました。