米連邦公開市場委員会(FOMC)は日本時間の2日午前3時、市場の予想通り金利の据え置きを発表しました。

その後行われた会見でパウエル議長は米経済の力強さに言及し、今後も利上げの可能性を排除しない姿勢を示しましたが、市場参加者たちには利上げ終了を示唆するものと受け止められました。

FRBが利上げを終え来年6月までに利下げを開始するとの観測から、米債金利は低下し、151円台後半まで上昇したドル円も150円台に下落し、150円割れをも視野に入れる動きを見せました。

 

Photo Fed

 

利上げ終了と早期の利下げは多くの市場参加者が待ち望んでいる状況であるため、株式市場は歓迎ムードで米債金利も大幅に低下する展開となりました。

 

ドル円今週の相場の動き

 

ただ「新債券の帝王」の異名を持つェフリーガンドラック(ダブルラインキャピタルCEO)は、景気の悪化が米債金利を下げているという別の見解を示しており、利上げが終了すれば金融市場が明るい兆しとなるという楽観的な見方は非常にリスキーであることを示現しています。

今回の会見でパウエル議長は、一言も利上げという言葉を口にしていないため、来年6月までに利下げを開始するという見方は市場の楽観的な予測に過ぎません。

しかしFedWatchツールには、すでに半数以上が利下げを織り込み始めていることが数値に示されています。

 

CME FedWatch

景気後退を理由に行われる利下げには相場暴落が付き物

21世紀に入ってからというもの、米国ではこれまで積極的に利上げを行ってきたにもかかわらず、景気の後退を理由に利下げに舵を切る機会が大まかに2度ありました。

ひとつは2000年のITバブル崩壊後に慌てて利下げを実施したケースと、もう一つは2008年のリーマンショック前の景気後退感から利下げに至ったケースです。

どちらの場面でも利上げ終了時、株式相場はその安心感から上昇を維持する好調な動きを示していましたが、FRBが利下げに踏み切りイールドカーブにノーマルな状況(長期債の金利が短期債より上がる状況)が示現した途端、株式相場は大暴落となりました。

そのため、もし来年6月前後にFRBによる利下げが現実のものとなれば、前回のような大暴落をもたらすのではないかという懸念が広がり始めている状況です。

現在ウォール街を牽引している金融機関の第一線マネージャークラスは、いわゆるミレニアル世代でありITバブルはもとよりリーマンショックの経験をも持ち合わせていないため、経験豊富な重鎮達はこの状況にリスク喚起を行っています。

日銀会合とFOMCの圧力が拮抗した結果、ドル売り優勢に

日銀は31日の政策決定会合で、利下げもイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃も行わないことを決定しました。

この結果を受け1日のニューヨークタイムでは、今後も円安が進む可能性が高いとみた投機筋たちによるドル買いが進み、一時は151.70円台という去年の最高値まで上伸しました。

財務省神田財務官からは「介入スタンバイ」の発言があったものの、同日2.7円という大幅変動を受けても介入には至らず、そのままFOMCを迎えることとなりました。

さすがにFOMC前後というタイミングで、自国の事情だけを理由に介入に踏み切るのははばかられたと見られますが、市場がFRBの利上げ終了と利下げを織り込んだことでセンチメントは一転し、ドル円は150円前半まで下落しています。

結果的にFRBの政策決定により円高を確保できたというわけですが、この先相場が円安にシフトすれば再度介入への警戒感が高まるため、市場と政府の神経戦はまだまだ続きそうな状況です。

中銀政策決定会合ウイークの相場は上下に変動しがちですが、ここまで激しい趣旨替えが相場に示現するのは珍しいため、多くの投資家が日替わり相場で大きな損失を被ったのではないかと思われます。

今年も実質残すところ1ヶ月半となった今、通常以上に注意深いトレードを心がける必要がありそうです。