足もとの相場は株も為替もウクライナ情勢のヘッドラインニュースに影響を受けており、いつ飛び出すかわからないことからレベル感で買い向かうことができない状況が続いています。
ただウクライナの「ドネツク人民共和国」、「ルガンスク人民共和国」の両地域はもともとロシア系の民族が住むところでウクライナからの迫害は強いことからロシアの救済を強く求めており、プーチンは両「共和国」の独立を承認する大統領令に加え、ロシアと両地域の友好協力相互援助条約に署名したことが2月22日の東京タイムに一斉に報道されました。
下落のピークも高まりましたがその後即座に戦争がはじまる気配もなく、西側諸国が続いてロシア制裁を発表しているものの状況が劇的に変化する雰囲気は薄れ始めています。
こうした時間が続くことになると売りを保有しているポジションも徐々に買戻しがでることからショートカバーとなる可能性も高く、戻り売りだけしていればいい時間は既に終わりにさしかかっています。
最終的な結果はウクライナ内の親ロシア共和国が独立で終焉か
ウクライナ領地内の共和国の独立をロシアが干渉するというのも不思議な話ですが、ロシア語を話しもともとロシア人が多かった地域はなんとしてもウクライナから独立したいという思いが強く、結果的に2014年のクリミア半島の併合のような結末が見え始めています。
ロシア軍が平和維持の名目でこの地域に駐留するのか侵攻するのかはわかりませんが、とにかく問題はウクライナ国内の独立運動に起因するものなので、NATO軍がすぐに介入するとも思えません。
ウクライナ自身がNATOの加盟を諦める声明を出すことがもっとも簡単な解決法だと思いますが、セレンスキー大統領はとにかくEUを始めとする西側諸国の救済を求めており、この辺りも話をややこしくしている感があります。
結局クリミアのような結末になった場合広域的な戦争に至る可能性はかなり低くなりそうですが、EU側がどのあたりでこの結末を妥協するのかにも注目が集ります。
米国や英国が煽るほど戦争にはなりにくい現実
ウクライナの問題を巡って欧州域内でも亀裂が入り始め、EUを飛び出したUKのボリスジョンソンは自分の政治生命の問題を横に置いて米国とともにロシアを強く非難していますが、EU自体様々な問題に直面しています。
とくにEUと関係がうまくいっていないポーランドは、自国で抱えられるのは4万人に満たないにも関わらずウクライナで有事の際には大量に難民を受け入れて欧州に流していく計画を発表しており、EUはこれだけでもロシアとウクライナが戦争状態になること認めるわけには行かなくなっていると言われています。
リアルな戦争は様々な思惑が働くので結果的にどうなるのかはまだ全くわかりませんが、米国が一方的に煽っているほどロシアのウクライナ侵攻リスクは高くなさそうな雰囲気が漂いはじめています。
今週後半に米国のブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相が会談するといった報道があり、フランスのマクロンがプーチンとバイデンを入れた会談の開催意向といった報道も出始めていますが、どのような会談が開催され、ここから何か急激な合意がはかられるのかは分からず、ロシアと西側諸国の戦いは経済戦争のほうにシフトする可能性も考えておく必要がありそうです。
地政学リスクというのは基本的にトレンドにはならないもので売られたものはどこかで買い戻されることになりますが、それが徐々に近づいていることを感じさせられる時間が迫ってきています。
株価ははっきりしませんが、為替については大きく買い戻しがでることで予想外の価格まで上昇する危険性もあり、ここからはかなり注意が必要です。