10月第二週の為替相場は、7日に発生したハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃によりリスクオフの展開となりました。

イスラエル情勢をにらんでか、FRB高官からもこれ以上の利上げに否定的なハト派発言が相次ぎ、週前半は148.160円まで下落する弱い展開が続きました。

ドル円は上方向から下落に向うのではないかという錯覚すら覚える状況でしたが、米9月の卸売物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)が共に予想比上振れとなったことから、週後半には今週の高値となる149.88円まで急伸する場面も見られました。

しかしその後は、150円を越えるほどの強い材料が出ないまま一週間の取引を終えています。

本来10月の中旬は、相場は一旦下落し年末に向けて再上昇が期待される時期になりますが、今年は上にも伸びず下値も堅いという状況が続いており、本邦の個人投資家も取引を手控える動きが強まっています。

ボラティリティが小さい相場は、スキャルピングトレーダーにとっても不利になるため、国内FX業者も取引量の減少に頭を抱えている状況です。

週明けのドル円は再度150円を試すかが最大のポイント

6日に発表された非農業部門雇用者数(NFP)は予想を大きく上回る結果となり、市場は年内の0.25%利上げを織り込む動きを見せましたが、多くのFRB高官が追加利上げに否定的な姿勢を示したことから、市場は利上げ打ち止めを織り込みはじめ、急騰した米債利回りが低下する中、ドル円も一転して下値を目指す動きとなりました。

しかしその後発表された経済指標で、インフレの沈静化にはまだ時間がかかるとの見方から、金利が再上昇しドル円もそれに釣られる形で上がる動きを見せています。

年内利上げは11月の指標次第と考える市場参加者が増えているため、相場の行方がはっきりしない状況が続いています。

 

ドル円一週間の動き

 

ドル円は週後半にかけて上昇していますが、この上昇が週明け以降も継続し再度150円を超えられるのかどうかが注目されます。

こうしたドル円の状況を踏まえ、鈴木財務相はスムージング・オペレーションではなく、一定の水準を目途に介入を行うような口ぶりに変わりつつあるため、今後150円を越えた場合はいつ介入が入ってもおかしくない状況となっています。

特に高値付近でのドル円のロングは、急落に巻き込まれないようしっかりストップロスを入れ取引を行う必要があります。

 

週明けは17日に米9月の小売売上高が発表されるほか、米当局者(フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、ボウマンFRB理事、リッチモンド連銀バーキン総裁、ウォラーFRB理事、クックFRB理事、ジェファーソンFRB副議長、パウエルFRB議長、シカゴ連銀グールズビー総裁、バーFRB副議長、アトランタ連銀ボスティック総裁、ダラス連銀ローガン総裁、クリーブランド連銀メスター総裁など)発言も控えています。

タカ派、ハト派の発言が出るたびにドル円は上振れ、下振れしやすくなるため、特にニューヨークタイムの取引には細心の注意が必要です。

債券市場も神経質な動きを見せていますが、その一方で米株市場はすでにイスラエル情勢をあまり意識しておらず、何があっても株は買いと判断する市場参加者の激増に違和感を感じざるを得ない状況となっています。

これがウォール街のマネージャー予想のように動くのであれば問題はありませんが、そうでなければ大きな損失を生むことになるため、やはり用心するに越したことはありません。

ユーロドルは13週連続で下落相場に

ユーロドルは、7月からすでに13週にわたり弱含みで取引を終える展開となっており、よほどの材料がない限り買いに向かうことは難しい相場状況となっています。

 

ユーロドル一週間の動き

 

週足レベルでは売られ過ぎの展開となっているため、一旦どこかのタイミングでユーロが買い戻される可能性もありますが、欧州地域に多く存在するタリバンのサポーターがイスラエルに対し抗議運動を繰り広げていることもあり、中東だけではなく欧州圏でも不測の事態が起きることも覚悟しておかなくてはならない状況です。

足元の相場は大きな上下動を期待できるような状態ではないため、欧州時間やニューヨーク時間など、相場が動く時間に絞って効率的に取引を行うのもひとつの方法です。

相場が動きづらい時は一旦相場から距離を置き、ここぞという時を見極め効率的に取引を行うことが大切です。