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FOMC・連邦公開市場委員会は16日の会合を終え、政策金利を0.25ポイント引き上げることを決定し、年内残り6回の会合全てで利上げを実施することを示唆することとなりました。

今回開示されたドットチャート

今回のFOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げ、0.25-0.5%とすることを賛成8、反対1で決定しています。

利上げは2018年以来となりますが反対したのはセントルイス連銀のブラード総裁で、0.5ポイントの利上げを主張すると言った形になり全会一致で同一の利上げを決定しなかったのは14年ぶりとなったようです。

これを受けて過度な利上げペースではないことを好感したのか米株は大きく買い戻されることとなり、翌日の日経平均もようやく大きく買い戻されました。

肝心の為替ではドル円がとうとう一時119円台にまで上伸する動きとなりました。
ただこの上昇ペースはかなり早いことに加え、119円台には久々の高値ということもあって実需の輸出勢もかなりの売りを出してきているようで、チャート的にはまだまだ上が狙えそうではあるものの、一旦リカクなどで調整する可能性がではじめています。

日柄でいいますと116.350円を超えてからまだ時間がそれほど経過していない、いわゆる若い相場ですから4月上旬に向けて再上昇も考えられそうですが、年度末、期末も重なって想定外の実需の売買ダマが登場する可能性もあり注意が必要です。

利上げが決まって上昇した米株だがこれが継続するかどうかが大きなポイント

毎回の会合で利上げが示唆されながら米株が上昇することになるというのは違和感がありますが、極端に拙速な利上げを行わないことが示唆されたこと、すでにこの程度は市場が織り込んでいること、さらにFRBのバランスシートの縮小に関する話題がほとんど出なかったことなどを市場は好感したものと思われます。

過去にも利上げ局面で株価が上昇することは結構見られているのでそれほど不思議な状況ではないことが窺われますが、インフレは株価を低下させる大きな材料だけにここからの相場がどうなるのかには引き続き注意しながらトレードしていく必要がありそうです。

ただ政策発表後の記者会見では、インフレはロシアのウクライナ侵攻によりもたらされたものでプーチンのせいであるといった発言をパウエルがしているのは非常に気になるところです。

実際に停戦になって激しい制裁と報復合戦が止まったとしてもインフレがそれで終わるとは考えられないので、パウエル発言はかなり大問題でしょう。

株価のほうもこれで上昇軌道に戻ったと考えるのはまだ早く、また下落に転じるリスクは残ります。

相場はウクライナ情勢にも飽きがきており新しい視点を探し始めている

直近のウクライナ情勢は戦争が長引きすぎてロシアの戦費も馬鹿にならないことなどもあってか、一旦停戦に向う可能性がかなり高くなっています。

相場はロシアのウクライナ侵攻問題にかなり飽きが来始めており、少しでもいい材料があるとそれにすぐに反応するような動きが強くみられています。

2月24日に突然攻撃がはじまって来週で1か月になるので、さすがに市場参加者もうんざりし始めていて、FOMCを超えた今、次の相場のテーマがどこにフォーカスされることになるのかが気になるところとなってきています。

ただ、戦争が一旦止まったとしてもロシアと西側諸国の制裁・報復戦争のほうは続き、目先は本当にロシアがデフォルトになるのか、また中国がそうした状況を回避するためにどのように動くのかと言った点に注目が集まります。

今年はまだ3か月しか経っていませんが、予想外に様々な問題が生じるようになってきており、トレードもかなりリスクの高い状況が延々と続いています。
とくに年度末3月はこれまでにない特別な動きが相場に示現しやすくなるので、残り二週間も注意深い取引を継続することが肝要です。