早いもので今年も半年を消化することになり、7月からは年後半の相場に突入します。
国内では6月末は単なる四半期末ですが、欧米ではカレンダーイヤーがフィスカルイヤー(会計年度)となることから、6月末は金融市場でもかなり特殊な動きがでるタイミングとなります。
リバランスと言う言葉がよく使われますが、ファンドにしても機関投資家にしても保有資産の文字通りバランスを変更することが多くなるため、売られたり新たに買われたりという変動がかなりでるのが常となります。
為替では月末に向けてロンドンフィックスでドルが一方的に買われたり、逆に売られたりすることが多くなり、特に買い切り玉売り切り玉と呼ばれる一方的に取引が行われるケースが多くなることから、ドル円などでも突然ドル売りが強くなったりすることに注意が必要となります。
東京タイムの仲値もそうした動きがでることがあり、とくに大玉の売却ではマザーマーケットの東京タイムに持ち込まないとすんなり売り切れないということもあるので外人の投資家が姿を表すこともあり、注意が必要となります。
本邦実需の輸出勢などはこのタイミングにレパトリといって国内に円を戻してくることはほとんどないので、特別なことがあるとすればやはり海外勢主体となることが想定されます。
また、月末を過ぎると、今度は7月4日の米国独立記念日に向けて米株もドルも買いあがることが多くなり、こちらについても注意することが求められる状況です。
ドル円はテクニカル的には一旦上値をつけた感があるが投機筋はまだ諦めていない
6月第四週のドル円は136円台の年初来高値を更新する動きになりましたが、東京タイムでは週明けから30億ドル程度の取引きしかなく、その後も40億ドルから50億ドルという低調な取引きの中で高値を狙いにいく動きになったのが非常に気になるところです。
テクニカル的に見るとかなりいい所までやって、ここからは簡単に上昇せずにかなりの上下動を伴う動きを想定する向きが多くなりますが、確かに一気に上昇ということはなくても取引量が少ない中では逆に簡単に上値を狙える状況にあることも意識しておく必要がありそうです。
日銀は急激な円安は経済によろしくないと言い始めていますが、その一方で延々と10年国債の指値オペを継続しており、先週あたりには一週間で11兆円近くの買いを入れています。
これは明らかに円安介入としての効果を発揮しており、ドル円のチャートだけを見ていると上昇一服感がありますが、債券購入の猛烈な増加から見ると円安が一服する可能性がかなり低いことが見えてきます。
この辺りはドル円チャートだけで判断せずに、円安要因の推移を総合的に判断する必要がありそうです。
7月10日の参議院選挙終了まで日銀がなにか政策変更をすることは全く考えられませんが、仮に無制限の指値オペに限界を感じてイールドカーブコントロールの上限を0.25%から0.3%やそれ以上に移行させることを発表した途端に、ドル円は激しく売り込まれて円安の巻き戻しに合うこともそろそろ想定しておかなくてはなりません。
ユーロは利上げを開始したもののインフレ率からみるとまだかなり低い状況
6月のECB理事会で利上げが正式に決定されたことからユーロもさらに上昇することが見込まれましたが、米国とほぼ同レベルのインフレが襲ってきているにもかかわらず利上げレベルはかなりゆっくりで、その政策差からユーロドルは引き続きユーロ安ドル高が続いています。
また、先週発表された欧州主要国のPMIは軒並み悪化しており、経済的に状況がかなり良くないことも上値を抑える大きな要因となりはじめています。
7/1にはユーロ圏6月消費者物価指数の発表がありますが、これが市場予測を超えて上回るようなことになればECBのさらなる金融引き締めの材料として機能しかねず、欧州株の下落やユーロの一段の下落が進む可能性が高まります。
米株は大きく戻りを試しているがまだ底をつけたわけではない状況
ドルは米債金利の推移に大きく影響を受けていますが、その一方で米株の動きとの相関性も高まりつつあるようで、株価が戻せば上伸するものの逆に下落に見舞われるとリスクオフで特にドル円が下落することが心配されるところです。
ただ、市場では日銀の金融政策がどこでギブアップするかは非常に大きな関心事になっており、ドル円のさらなる上昇を含めて投機筋は相当熱い視線を送っていることを忘れてはならない状況です。
米株市場も一旦は落ち着いたかに見えますがリセッションは確実に進んでいるようで、より下値を模索する時間が到来する可能性は高く、それがリーマンショック級の下落となった場合為替も含めて状況が一変することは常に意識しておく必要がありそうです。
そういう意味では6月末から7月にかけての相場は一段と難しさが増していることを意識しなくてはなりません。