直近のメディアでは、とうとう日銀の保有国債が既発債の50%を超えるほどの買付を進めており、6月の購入額はすでに14.8兆円と2014年11月の11.1兆円を抜いて最大と報道されました。
6月はまだ数日残っているため最終的には月間で16兆円弱に達する見込みで、金利の上昇を抑え込むために激しい債券買いを行っていることが分かります。

データ日経新聞

とくに6月はロンドンタイム以降になると外人勢が日本国債を売り浴びせることから、10年債利回りはそのたびに上昇し無制限指値オペにより対抗した日銀は6月だけでも前月の2倍から3倍近くの買いを入れていることが見えてきます。
これではいくら黒田総裁がイールドカーブコントロールの継続に自信をみせても継続可能とは言い難く、ドル円が140円を超えたあたりからなんらかの政策変更を実施することを迫られることになるという予測が非常に増えています。
発行債券の半分を日銀が保有するというのはすでに世界第三位を占める日本国債市場をぶち壊しにしかねない話なので、この状態が延々と続くと考えるのにはどうにも無理があります。

そんな中でいきなりヘッジファンドに対して敗北を喫するような発言を日銀が公式的にできないことから、海外勢の間では日銀黒田が参院選後解任か辞任で対応して人事変更から政策も同時に変更していく動きをとるのではないか、といった憶測が驚くほど高まりつつあります。

スイス中銀がいきなり50ベーシスポイント利上げしたあとにも日銀が利上げするのではという観測が高まったので、日本のことがよくわかっていない海外勢の憶測を真に受けることは問題ですが、このまま緩和政策を来年の4月まで維持するのもかなり辛い話となり、総裁の交代をもってして政策変更に出ると言う話もまんざら嘘ではなさそうなものがあります。

足もとの黒田総裁は、物価上昇を国民が容認などという余分な発言を切り取られて報道されたことから、金融政策に全く興味のない国民にまで批判されてしまうというかなり残念な状況に追い込まれています。
岸田政権としても国民からの批判をかわすことを考えざるを得ない状況で、人を変える形にすると責任を無理やり取らされた形になるため、自主的に辞任という方向で動く可能性は十分にありそうです。

もともと第二次安倍政権下ではじまったこの非伝統的な緩和政策には出口など全く設定されていないため、とにかく行けるところまで行くというのが基本で、安倍首相も退陣してしまった今、黒田総裁だけがこのスキームを延々と継続するのは恐らく相当しんどい状況になっているものと思われます。
そのためある意味半年早く退任するのは意外にご本人も望むところかもしれず、あっさり辞任ということもあり得そうな雰囲気になってきています。

外側には一切情報がでてきませんが、日銀内でも今の金融政策の継続に対して相当危惧の念をもっている委員がいるはずで、単純な継続はもはやままならないところにあるのかもしれません。
タイミングとしては、参院選が終了した7月11日から次の日銀の政策決定会合が開催される7月20日の間になにかある可能性が高まりつつあります。

黒田総裁辞任ならかなりの円高進行になる可能性も

現時点では全くの憶測なので現実にものになるかどうかはここからの動きを注意深く見ていく必要がありますが、黒田総裁辞任もしくは解任というヘッドラインが流れた途端にドル円は相当な円高に振れることが予想されるところです。
これだけをもってしていきなり10円安になるかどうかは疑わしいものの、その後発表される政策変更を含めれば10円程度円高に引き戻されることは十分に考えられることから、ここからは黒田問題も意識してトレードしていく必要がありそうです。

金利の不意打ち的な上昇は日経平均にも大きな影響を及ぼしそうで、いよいよ日銀起因でリスキーな相場が展開する危険性を十分に意識しておきたい時間帯になりそうです。
逆に何事もなく日銀が既存の政策を継続する姿勢をとった場合、7月中にドル円が140円を超えることになる可能性もあり、上値を追うのか大幅下落するのかはまさに日銀次第という時間帯が続きます。