足もとの米株市場は一旦FRBが利上げ率のペースを落すことが鮮明になっているためその材料だけを楽観視して株価は上昇、とりあえず感謝祭ラリーを超えて年末クリスマスラリーに突入できるのかどうかが注目されはじめています。
しかし金利の上昇は率の問題ではなくここからいつまで続くのか、そして最終的なターミネーションレートが4%台に収まるのか5%以上まで上がるのかが大きな問題で、一回の利上げ幅が50bpに抑えられることだけではなんら先行き見通しを明るくするものではなくなっていることに誰も目を向けないある種異常な状況になりつつあります。

そんな中で米株がFRBのQTの進捗によりここから年末もしくは年明けに大きく下げるのではないかといったう予測が顕在化してきており、市場でも注目を集めるようになっています。

過去FRBの資産とともに上昇してきた米株にとってはQTは試練の場

2020年4月には4兆ドル台であったFRBの保有資産は新型コロナ対策のバラまき、無制限QEの実施のおかげで足もとでは9兆ドルまで膨らむこととなりましたが、景気の上昇とは関係なくそれと正相関の世界で米株は上昇を遂げることになりました。
しかしQTが進むと必ず米株は下落に転じることは2017年12月のパウエルによる利上げとQTの強硬でも示現したとおり、かなり早く今年6月から始まったFRBのQTがいよいよ相場に影響を及ぼすことがようやく市場でも語られ始めてきています。

FRBは今年6月から公言どおり月間475億ドルペースでQTを行う旨を発表し実施しはじめていますが、実際には10月までの5か月で2234億ドルあまりの実施に留まっており、その進捗率はほぼ67%程度に収まっています。
これはQTのボリュームを加減しているわけではなく、FRBはその遅延理由としてインフレの影響から物価連動債の元本が増加することになりその調整金がFRBのバランスシートに計上され進捗が疎外されているとしています。

またQT以前に再投資したMBSの金額が遅れてバランスシートに計上され、MBS残高が結果的に増加していることもあげられています。
こうした要因を取り除けばFRBは確実に履行していることが窺われ、これから益々QTが進むことは間違いない状況で、果たして米株市場はそれにどこまで耐えられるのかが大きな焦点になるでしょう。


11月段階ではまだ昨年末程度までしか戻ってきていませんが、これがこのまま継続すれば確実に株と債券に影響を与えることになり、いよいよ2023年の年始には大幅な株価下落も危惧されます。

アナログチャート分析では今年の相場は2008年とそっくりに推移という不気味な展開

AIが普及するようになってから、チャートの形状から似たものをすさまじい量の過去のデータから探してきて先行きを予測する手法が市場では進んでいますが、一部ではAI普及の前から行われた手法であり、アナログチャート分析などとも呼ばれています。
80年代ブラックマンデーの前にチューダーファンドがこの手法を見事相場の下落を予想し大儲けしたことでも知られている分析手法です。

過去の相場の似たような状況を探して比較分析するなど意味はないと否定する向きも多いのは事実ですが、コンピュータ分析では人間が裁量取引で行う様に上昇要因や下落要因を集めてそれにプライオリティをつけてどうなるか分析するといったことは一切やっておらず、金融に詳しくない博士号をもった理系の人がこれに四六時中集中していることも忘れてはなりません。

このアナログ分析で目下大きな注目点となっているのがS&P500の2008年のチャートと2022年のそれとがひどく符合しているということです。
ここのところFRBの楽観的な利上げ交代論という希望的な観測からだいぶ値を戻したS&P500ですが、その動きすらも2008年のチャートにかなり似ており、このままでは12月後半から来年1月には相当な下げが起きる可能性が高まると指摘する向きが徐々に増えています。
この予想が正しいのか間違っているのかはここから2か月ほどの相場を見れば答えあわせができますが、市場の取引というのは人の売買という思惑が複雑にからみ合っているので、その結果としてのチャートの形状は実は想像以上に多くの情報を包含しているもので、チャートの形状が酷似しているというのは相場の状況が2008年のそれと合致していることを示唆しているともいえます。

ここから大幅な下落が果たして起きるのかですが、少なくとも今年の下値で底をついたと考えるのは明らかに早そうで、為替の世界では米株の御幅下落にドル円がついて行くことになるのかも大きな注目点となりそうです。
年末に相場が大幅下落というのはなんともやりきれないものがありますが、まさかの事態に十分な備えをしておく必要がありそうです。
今年の相場としては12月第3週でほぼおしまいになりそうですが、相場の大幅下落の問題はそのあとに起きる可能性が高まりそうで、気を緩めずに見守ることが重要です。