11月23日、本邦は勤労感謝の日の祝日で夜にはFIFAワールドカップのドイツ対日本の試合があり、日頃は売買に勤しむ国内の個人投資家の方もその多くがテレビに釘付けになって試合を観戦されたことと思います。
結果はFIFAランキング24位の日本が同11位のドイツに2対1で勝利し歓喜に沸いたのはいうまでもありません。

ただ、その試合の時間帯に為替相場ではドル円でとんでもないことが起きてしまいます。
例年感謝祭の前後は相場が薄いためポジションの手仕舞いなどから相場が大きく動くことが多く、ドル円でも過去にそうした状況を何度も見る機会がありましたが、今回はまた格別の状況で、これによりどれだけ相場が傷んでしまったかが危惧されるところとなっています。
こうした危ない状況は感謝祭後の25日にもありそうで、ここからは無理してトレードをしないといった対策をとることも重要になりそうです。

きっかけは米製造業・サービス部門PMIでFOMC議事録が追い打ちの状況

感謝祭前の22日に発表された前週分の米新規失業保険申請件数や11月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を下まわったことから米債金利はそれに連動するように金利が低下しましたが、節目の140.00円など重要なサポートを下抜けたことから下落は留まることを知らず、とうとう140円台を割り込み139.500円レベルまで下値を試すこととなってしまいました。
米11月製造業PMI速報値は47.6と、10月50.4から予想外の50割れに落ち込みリセッション懸念が高まることとなり、さらに11月サービス業PMI速報値も46.1と、5カ月連続の50割れで予想も下回り8月来で最低となりました。
トータルの数字を示す11月総合PMI速報値も当然数値は悪化し46.3と5カ月連続の50割れで、10月48.2からさらに予想を上回る低下を示現しています。

確かにリセッション懸念が高まったことは事実ですが、ロスカットが次々ヒットして必要以上に下落した感も否めず、週の取引ベースでは142.200円からあっけなく1.6円近い下落を喫することとなりました。
一般な話ではありますが投機筋のポジション整理というのはこうした指標発表にかこつけて同時に行われることが多く、今回もそうした便乗トレードが必要以上の下落を招いた可能性が高いように思われます。

Data Tradingview

この下落に拍車をかけることになったのは日本時間の午前4時に公開された11月分のFOMC議事録の内容でした。
多くの高官が金利ピークはより高いとの予想としながらも、多数の参加者が利上げぺース減速が適切となる可能性が高いと判断していることを受けてドル円はさらに下落、明け方には139円割れぎりぎりのところまで押し込む展開となっています。
ただほとんどの参加者は利上げペースよりもターミナルレートがどこまで行くかが重要と見ていることもわかり、利上げペースの減速イコール利上げ終了ではないことも強調している点が目立ちました。

NYタイムの終値は139.600円レベルにまで戻していますが、週初142.200円レベルまでつけたドル円は何と言うこともなく3日にして139円すれすれまで3円近く下げてしまったので、それなりの痛手を被ったトレーダーも多かったのではないでしょうか。
特に週の前半上方向にぐんぐん上がった相場を見てさらに上昇を確信した向きも多かったはずで、ポジションを買い持ちしていた向きは相当やられたことが感じられます。

米国の経済指標で必要以上に下げる相場が連発の状況に

10月11月相場では米国の経済指標に起因してドル円が想像以上に下落するという状況が頻発しています。
月次のCPIは今や雇用統計よりも重要な指標になりつつあり、とくにFRBの利上げ上昇判断に結びつくものは米債金利が即座に反応することからドル円も上昇しますが、逆に利上げスピードを緩和させるような要因になるもの、さらにリセッションを示唆するものについてはドル円が大きく下落するという場面に遭遇することが多く、よほど低い水準から買い持ちしているようなポジションでないかぎり毎回指標発表毎に切らされるという厳しい状況に直面してしまいます。

本来は感謝祭シーズンから12月中盤まではドル円が上昇しやすいシーズナルサイクルに突入しますが、今年は12月14日(東京タイムは15日午前4時)に12月FOMCが開催され、その直前に11月の米国CPIの発表も控えており、相場がどうなるのかはまだ全くわからない状況です。
こうした相場の変動はもちろん来年も続くことが予想されますが、金利の上限先行きが見え始めるとドル高が一息つく可能性も高まるところで、今度はドル安を考える時期も到来しそうです。

最近の相場では上下動のほとんどはAI主導で行われているという話も出回ってきていますが、たしかに人が裁量取引でやっているのとは大きく異なる激しいボラティリティが示現するのは大きな特徴であり、これにどう対処していくかも大きな課題になってきているようです。
感謝祭シーズンが明けてまともに相場が動くのは28日からになりそうですが、ここから相場がどう動くのかは相当注意深く見守る必要があるでしょう。