ドル円は今週に入ってから144円台に上伸しはじめ、2022年9月の24年ぶりの円買い為替介入の水準にかなり近くなりつつあります。
すでに昨年の最初の介入から9か月が経過しているため当時の状況を正確に思い出せないトレーダーも多いようなので、今回はこの最初の一撃の介入にフォーカスしてみたいと思います。

2022年9月介入後の相場の動き

昨年は上のチャートをご覧いただくとお分かりいただけるとおり、9月に入って俄然ドル円の上昇が顕著になり上げの値幅も日々大きくなる相場が続きました。
この時点では財務省が本当に米国の了解を取り付けられるのかという疑心暗鬼も手伝い単なる口先介入ではないかといった見方も広がりましたが、結局本邦財務省は本当に実弾による単独介入に踏み切っています。
その水準が145.920円で介入後140.130円まで5.8円余り押込まれることとなりました。

足元の相場で突然介入ということになれば140円割れ位までは下落することになりそうですが、財務省はあくまで水準ではなく時間的に急激に相場が上昇することを止めてスムージングすることを公的な目的としているので、現状の相場の推移で145円を超えたからすぐに介入するかどうかはかなり微妙な状況になっていると思われます。

米国財務省の承認は今回もすでにとれている可能性

Photo Bloomberg

神田財務官は改めて介入の可能性を示唆しはじめていますが、この口ぶりから言えば米国財務省イエレン長官の承認はすでに受けている可能性が高く、あとはどこで介入に踏み切るかという判断が最重要ポイントになってきているようです。
為替介入はいろいろな説明をつけても結果として残るのが介入水準となるため、145円が接近した段階で市場が広く心配しはじめるというは十分に理解できますが、それでも昨年の相場と今年の相場はかなり異なるという見方も広がっており、今年はまだこの水準では介入は行わないのではないかといったアナリストの予測も増えています。

円安の過熱感は昨年ほどではない

2022年9月に政府・日銀が24年ぶりに円買い介入を実施したドルの水準は年初から30円以上の上昇となり、とくに9月に入ってからは投機筋が挙ってドル円の買いに参入してきたことから上昇水準は凄まじく大きなものになりました。
日銀のこの時の介入はまず露払いの145円台後半で実施されたものの、また戻ってきた相場を見て150円に乗せたところを大きく叩くこととなり、円ショートを大量保有していた投機筋ほど大きな損失を被ることになりました。
足元のドル円は144円台を推移していますが年初130円からはまだ14円超しか上昇していないのが現実で、昨年と比較して激しいスピードで上昇する相場にはなっていないのもまた現実となっています。

したがってこのレベルでは口先介入はそれなりに飛び出すと思われますが、実弾をともなう介入はまだまだ先ではないかといった憶測が高まっている状況です。
またユーロなどクロス円での上昇がドル円をけん引しているのも昨年とは異なるもので、ドル円だけの介入ではその効果が出にくいという指摘も飛び出しはじめています。

FRBの利上げ終盤でドル円は150円を突破できないという見方も

過熱感という視点でみるとやはりドル円は150円を超えるレベルがもっとも介入に踏み切られやすいと思われますが、FRBが利上げのほとんどをすでに終えてしまっていることを考えるとこの時点で145円以下のレベルにあるドル円がここから150円を超えて上昇すると期待するのは相当無理がありそうで、このままでいけば口先介入のみで実弾介入が行われない可能性についても認識しておきたい状況となっています。
そもそもこのドル円の上昇は日米の金融政策の決定的な違いから生じているもののため、本来は日銀が政策を変更することで一銭の介入資金も使わずにYCCの変更だけで簡単に円高にシフトさせることができるものであることも忘れてはいけません。
とは言え高を括っていると本当に介入を断行され一気に5円以上の円高が示現するリスクは依然として残っているので気をつけなくてはならないのは間違いありませんが、介入期待だけでショートのポジションをもつというのも実はかなり危ないトレードであることはしっかり認識しておきたいところです。

146円前半が一旦の上値ターゲットか

もう145円超えは時間の問題になりつつありますが、昨年高値と今年安値の76.4%戻しが146円台全般に控えているので、まずはここに到達できるのかどうかが大きなポイントになりそうです。
この上昇相場はすでに13週を超えており、ドル円としてのトレンドのはっきりした上昇タームはすでに終盤に差し掛かっているのが現状で、結局介入を待たずに終息して7月の下落相場に転換していく可能性も視野に入れておく必要がありそうです。
介入は金融当局と投機筋の神経戦の様相を呈するものですが、間違った見立てをしてしまうととんでもない損失に見舞われることもあるだけに、ここからは相当慎重なトレードを心がけることが肝要です。