ドル円は6月最終週の最終日にあたる30日の東京タイムでとうとう145円を超える展開となりました。
ただその上は実需の売りも並んでいたのか滞空時間はかなり短く、144円台に押し戻される動きとなりました。
ロンドンタイム、NYタイムに再度上値を試すことが予想されましたが、上昇を大きくサポートするような経済指標もなく、結局144円台初頭まで下落して週の取引を終えるという意外な推移となりました。

先週ECB主催のECBフォーラムが開催され日銀植田総裁も参加していましたが、同氏の発言では2024年まで金利をいじることはなさそうで、日米の金融当局の政策の差は当分続きそうな状況です。
こうなるとよほど異なる材料が出てこない限り円売りが円買いになることは考えにくく、リアルな相場ではポジションの傾きなどから上下動がでるとしてもドル円は大きく下げて円高にシフトすると予想するのは相当困難になってきています。

ドル円一週間の動き

週明けのドル円は一旦沈み込む可能性もありますが、上昇基調はまだ崩れておらず、ここ1~2週間でどこまで上値を試すことができるかに注目が集まります。
ドル円の今回の上昇トレンドはすでに13週を超えて通常の上昇期間の最終時間に突入しようとしているため、7月前半でさらに上昇ができない場合下落にトレンド転換から下落に転じる可能性もあり、相当相場をよく見てついて行くといったトレードが必要になりそうです。

また145円を超えたことで財務省の介入警戒感がかなり高まっているのも事実で、週明け月曜日に145円を大きく超えた場合翌日が米国の独立記念日でお休みということもあって、このタイミングに介入が入るのではないかといった憶測も飛び交いはじめています。
ただ、全般的に言えるのは今年のドル円相場には昨年のような過熱感はほとんど感じられず、上昇スピードもかなりゆっくりなため、145円といった水準では実弾介入は入らずもっと上での実施となるのではという見方も強まりつつあります。
日柄的な問題から自律的に反転下落となれば結局介入なしという状況も考えられることから、リアルなチャートの動きを相当こまめに確認してロングをとるかどうかを判断する必要がありそうです。

ドル円が明確にトレンド転換したと言えるのは137円を割れたあたりからの話なので、それを判断するにはまだ相当の時間がかかるのもまた事実のため、プライスアクションをよく読み取ることが重要な時間帯に入っていることがわかります。
介入が入るかどうかという段階になると常に神経質な相場の動きが出て口先介入でも簡単に1円程度の下落を余儀なくされるため、ストップロスを置いて大きくやられないような準備を十分に行うことも重要です。
いきなり神経戦を強いられる水準ですが相場の先行きを事前に判っている市場参加者はいないので、とにかく果敢に戦うことを考えるしか対処方法はありません。

ユーロは反転下落の可能性が高まる状況に

ユーロドルは先月6月22日に1.1012をつけたものの、その後は政策金利の上昇とよりも経済指標の悪化からリセッション懸念のほうが急激に顕在化することとなり、上昇よりも下落気味の展開に移行した状況です。
一部のテクニカルアナリストはユーロドルの上昇トレンドは一旦終了したと見始めており、週明けはドルの動き次第でさらに下値を試す展開も予想されはじめています。
ユーロドルの下値は1.07000レベルになると思われますが、米6月ISM製造業指数、米6月ISM非製造業指数、米6月雇用統計がいずれも強い結果となった場合さらに下抜けするリスクも考えておく必要がありそうです。

ユーロドル一週間の動き

こうなると気をつけなくてはならないのがユーロ円の動きで、これまでドル円の動きと正相関で動いてきたユーロ円はユーロ安から異なる動きに転じる可能性もあることを意識しなければなりません。
またドル円で財務省の為替介入が入った場合にはその影響をもろに受けるリスクがあるのもユーロ円となり、クロス円全般にリスクは高まりますがユーロ安が進めばユーロ円がもっともリスキーな通貨ペアとなることも覚悟しておく必要があります。

相場全体は引き続き円安をベースにした展開が予想されますが、冒頭にも触れた通り日柄的に円安が一服し逆に巻き戻しの展開となった場合にはすべての通貨ペアのシナリオが大きく狂うことになるので、7月相場は中旬に向けてそれに最大の注意を払うことが重要です。
7月相場は後半になると夏休みの休暇に入る投機筋も多く、市場参加者は思いのほか減少することも考えられます。
相場の先行きはあくまで決めつけずに実際の動きを見て柔軟に判断していきたい一週間です。