今年11月に開催される米大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領は、FRBに対し安定した株価水準を維持できるよう慎重な対応を求めている模様です。

その一方で米国は、輪転機を回し市場に資金の提供を続けており、この状況は大統領選挙が終わるまで続く見通しです。

連邦債務は34.3兆ドル突破、過去最高に

既に米国の連邦債務は34.3兆ドルを超えており、税収をすべて投入しても利払いに追い付かないほど状況は悪化しています。

複雑な事情から債務が嵩んだことはわかりますが、日本円にするとその額は約5,500兆円にも上ります。

本来ならば、毎回議会で承認を経て上限が引き上げられるプロセスも、早い段階で制限を設けるべきところですが、政権と議会で誰も上限を止められないことが大きな問題となっています。

 

 

ここ数年は、100年に一度の危機とされる新型コロナの感染対策に、政府は莫大な資金を投入しましたが、それにしても34兆ドル超えという額は到底返済できる規模ではなく、選挙後の方針が心配されるところです。

「現代版プラザ合意」でドル安対応か

1985年のレーガン政権下には、日欧主要国をニューヨークのプラザホテルに集め、強引な協調介入でドル安を示現させたという過去があります。

合意したのかさせられたのかは定かではありませんが、「プラザ合意」というこのオペレーションにより、30%以上ドル安が進み債務は急激に減少する結果となりました。

米国の場合、債券買主のほとんどが外国人投資家であるため、ドル安になればその負担は海外勢が背負うことになります。

現在のドル円水準である160円から考えると、短期間で100円まで急落したことになり、プラザ合意では、それをまんまとやってのけたことになります。

最近ではイエレン財務長官が、介入は稀であるべきとの発言を行っていますが、当時のドル売り介入はその理念とは程遠いものであることが分かります。

トランプ前大統領は、加速する円安に対し危惧を表明しているため、場合によっては来年あたりに現代版プラザ合意が実現するかもしれません。

このような状況から、無制限に円安が進むという見立てにも限界が近づいている可能性があるため注意が必要です。

ドルのばら撒きで懸念されるハイパーインフレ

ここ最近の状況が、過去の債務問題と大きく異なる点については、現代貨幣理論(MMT)に倣い、市場にドルをばら撒き続けていることが指摘されています。

ドルの供給は大統領選挙に向け今後も継続していくものとみられ、これにより次の世代に及ぼす影響が心配されるところです。

イエレン財務長官は、ようやくこの問題の深刻性を認識し、懸念を表明していますが、解決までの道のりは長く険しいものになりそうです。

 

 

市場のドルへの信認はまだ崩れておらず、ドルの需要も世界的に高い水準にあるため、今後もドル高は維持されそうです。

しかし経済学者の多くは、この状態が長く続くと深刻なハイパーインフレが発生し、そうなればFRBでも手に負えない状況に陥る可能性を指摘し始めています。

表面的には、米株3指数が軒並み過去最高を更新中で、経済も絶好調であるかのように見えますが、実際には債務返済という深刻な課題が立ちはだかっています。

米国の金融市場は、FRBがいつ利下げを実施するかだけに興味を示していますが、それ以上に大きな問題である債務問題にもしっかりと目を向ける必要がありそうです。