7月相場もいよいよ天王山となる月後半の米欧日の金融政策決定会合を通過する一週間となります。
3つの主要中央銀行の政策決定会合が矢継ぎ早に相場を通過することから個別のテーマに沿った取引をいかに行うかが大きなポイントになりそうで、日頃にも増して柔軟なトレードが求められる一週間となりそうです。
それだけに事前に方向感を断定してポジションを保有したりするのはかなり危険で、あくまで結果を受けて売買ができる枠内でトレードを進めていくことが肝要です。
ただ今回は予想以上に発表の前に材料が出尽くしてしまった感もあり、結果市場が期待するほど大きな動きが示現しない一週間になることも考えておく必要がでてきています。
FOMCは政策発表後のパウエル発言でドル円上昇か下落かが決定
7月FOMCに関しては市場はすでに99%以上の確率で0.25%の利上げを折り込んでしまっているため、この結果を受けてドル円が大きく上昇したり下落したりすることは全く考えられません。
問題はその先で、6月の米国月次CPIは1年前の3分の1レベルに下落しており、インフレのピークアウトは顕著な状況になっているためかなり広範な市場参加者がこの利上げで追加利上げを停止すると予測し始めており、それをパウエル議長が明確に会見で示すことになれば債券金利は低下、ドル円は下落することになります。
しかしFRBとしてはこの先の利上げの選択肢を残しておきたいと考える可能性も高く、今後のデータ次第で利上げがありうるといった発言が飛び出すことになればドル円はさらに上伸する可能性がでてくることになります。
このあたりはあくまでパウエル発言のニュアンス次第のところがあり、会見で判断せざるを得ない状況になることは覚悟しておかなくてはなりません。
先週末の段階ですでにドル円は142円一方手前のところまで上昇しているので、流れによっては143円、144円といった高値を狙いにいく相場が展開する可能性もありそうです。
ECB理事会は9月以降の利上げ保留ならユーロ下落の展開
一方、ユーロドルについては6月のECB理事会後の記者会見で7月の利上げを既に示唆しているのでこちらも利上げは完全織り込み済みとなっていますが、次回9月会合での利上げに関してはあくまでデータ次第ということでさらなる利上げが示唆されない可能性も高く、ハト派的発言と受け取られた場合には噂で買われたユーロドルが一転して事実売りとなる可能性にも備える必要がありそうです。
ECB理事会は同日早朝のFOMCのあとに同じ日の夜に行われますので、ドル円が上昇基調にある中でユーロが下落することになるとまた143円方向に上昇することになりそうで、翌日の日銀政策決定会合はかなり高いドルの水準で迎えることになる可能性が高まります。逆に9月以降の利上げが口頭でも示唆されるようですとユーロは継続して上昇、ドルは対円を含めて下落に転じることも想定しておく必要があります。
日銀会合はすでに政策変更なしの事前情報が折り込まれ上昇も限定的か
先週金曜日日本時間の午後4時半すぎにブルームバーグの報道で、事情に詳しい複数の日銀関係者への取材から日本銀行は現時点でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の副作用に緊急に対応する必要性は乏しいとみているといったことからドル円はショート勢の買戻しが進み、ロンドンタイムに入ったところですでに2円もドル高円安が進行しました。
このすさまじい買戻しで28日の日銀会合でYCCをいじることが政策決定される可能性を考える向きは相当減少したようで、ここから当日現状維持という判断が発表されてもここからさらに2円3円と上昇することは殆ど期待できない状況となりました。
政策決定会合前にこれが折り込まれたことはある意味安全な相場になりそうですが、結果的にドル円が大きく動くことはない一週間として終わることもありそうな状況になってきています。
これがいいことなのか悪いことなのかはトレーダー個人の評価になりますが、事前に期待したほど相場が動かずに7月を終えることになることも覚悟しておかなくてはならない一週間になりそうです。
ここまで市場の事前織り込みが進んだ中であえて日銀がYCCをいじるといったことになればまさにそれこそが真のサプライズであり、ドル円の大幅下落となりそうですが、さすがにそれを想定する向きは激減してしまったようです。
とは言え予測は予測ですから現実に何が起きるのかは冷静に見ていくことが重要です。
神田財務官は先週金曜日の円ショートの投げによるドル円の大幅上昇に対してすかさずなにかあれば円買い介入を行うことをちらつかせる発言をしており、上昇局面ではまたしてもまさかの介入も気にする必要があるかなり神経質な場面となってきています。
市場参加者は既に減少中でこれを通過すれば夏の閑散相場突入
短期間に米欧日の金融政策決定会合が開催されることから為替市場は絶好の稼ぎ時とも考えられているようですが、すでに市場参加者は減少しはじめており、夏枯れ相場はじわじわと進行していることが窺われます。
参加者の減少は思わぬ相場の流動性を招くリスクもありますが、期待したほど動かずに意外に平凡に終了するという残念な相場が示現することもあらかじめ想定しておきたい一週間です。