すでにこのコラムでは2月2日の長い中銀会合イベントデーの1日について取り上げていますが、それをなんとか無事通過した後、3日の金曜日のNYタイム毎月恒例となっている米国の雇用統計とその後のISM非製造業景況指数の発表で波乱が起きることとなりました。
日本時間の午後10時半に発表となった雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比51.7万人増と予想の18.5万人増を上回り、失業率が3.4%と予想の3.6%より強い内容だったことから、前日のFOMCで比較的早期に利上げが終了するかもしれないといったパウエルプット派の思惑がすっかり覆ることころとなり、一転してFRBはそう簡単に利上げを停止しないという予測が市場に広がることとなりました。
130円ちょうどにあったドル円のオプションも上昇に有期的に機能したようで、結果を受けてドル円はそれまで下げ目線だったものが一転上昇、さらに午前12時に発表となった1月米ISM非製造業指数が55.2と予想の50.4を上回ったことからさらに上昇し一時131.200円まで跳ね上るといった異例の展開をみせ、その後もほとんど下げることなく上昇を維持して週の取引を終えています。
FOMCを経てドルは引き続き下落方向に動くと確信していた向きにとっては完全に予想外の動きとなってしまい、戻り売りをした向きは完全に踏みあげられるという相場になってしまいました。
とくに131円台に戻したのは久々で、週明け果たしてこの上昇の動きが継続できるのかどうかに注目が集まるところとなっています。
テクニカル的には短い移動平均線が50日線200日線をデッドクロスしたままなので132円以上に上昇しないかぎりトレンドが転換したとは言えない状況が続きますが、金曜日の雇用統計の結果を受けて米金利先物市場ではFRBがパウエル発言のとおりあと2回は利上げをおこない、さらに簡単には利下げに転じないという見方が強まっていることから日米の金利差から考えるとドル円はそう簡単に下落しない可能性もではじめており注意が必要です。
シーズナルサイクル的には2月のドル円は後半に上昇しやすくなる
昨年はまったくといっていいほどシーズナルサイクルがあてはまらずに一方的に上昇する期間が長かったドル円ですが、パンローリングが出しているトレーダーズアルマナックの月次サイクルでは2月後半にむけて上昇するのが例年の動きとなっており、果たして今年はこれがワークするのかにも関心が集まるところです。
今年に関しては地銀がかなり大量に米債を売って日本に資金を回帰させるという予想も出てきており、20兆円や30兆円という規模で円転の売り切り玉が2月中に出始めるとまた状況は例年と異なることになりそうです。
このあたりは実際に起きてみない事にはわからないというのが正直なところで、あらかじめ断定して取引をすることだけは避けたい状況です。
ユーロドルは上昇か下落かはっきりしない状況に
先週市場の予想通り50ベーシスポイントの利上げとなったユーロはその直後に大きく買われる状況となりましたが、それも一時的で3月以降の利上げについてはラガルドがあまりはっきりとしたことを口にしなかったこともあって折角の上昇の値幅を早くも消し去る動きとなりました。
さらに上述のように金曜日米国の雇用統計が非常に強含む結果となったことから、2月に入ってからの上昇分をすべて吐き出す動きになり週明けも弱含む展開が想像されるところとなっています。
長期的にはまだまだ戻す機会がありそうですが、ごく短期ではさらに押される展開になるリスクを常に考えながらトレードしていきたい状況です。
10日に予想される日銀の次期総裁人事にも注目
今週10日には国会に次期日銀正副総裁人事が発表されるとされていますが、これを巡って相場が動き出すことにも注意が必要です。
とくに政策変更が強く期待されるような人物がノミネートされた場合、それだけで思惑からドル円が売られる可能性もあるため、金曜日についてはかなり注意が必要になりそうです。
今のところ誰が指名されるのかは全くわかっておらず、どのような結果と相場の動きになるかについても今のところわからない状況です。
したがって上でも下でも動く方向についていくという姿勢を大切にすることが求められることになりそうです。
主要3中銀政策決定会合をこなして為替相場はもっと方向感がはっきりすることを期待しましたが、結果ははっきりしないままの状態となっており、取引は引き続きかなりやりにくい状況が続きそうです。
相場はいつでもやりやすくて簡単ということはありませんが、とにかく予断を排して動く方向についていくという心がけが重要になりそうな1週間です。