毎年本邦がお盆シーズンになると円高が示現する可能性を示唆するアナリストが多くなります。
今年もいよいよそのお盆シーズンが到来しますが、果たして本当に円高はやってくるのでしょうか。

確率論的に見るとなんとなく円高になる可能性が高まって見えるものですが、冷静に分析してみると下落してもその値幅は確かに下げたとはいうものの慌てて売らなくてはならない値幅のものではないいことも多く、確実にワークするアノマリーというほどの結果が得られないないことを前提に相場に向き合うことが重要になります。

今年は海の日が11日の金曜日なのでお盆シーズンというのは11日から土日を挟んで18日までとなる可能性が高まります。
勿論企業によっては17日までといった区切りをつけてくるところもあると思いますが、11日から15日まではコアタイムとして機能することが考えられます。
16日以降は平常営業に戻る企業も多くなるので、あまり後半の時期にお盆だからといって売りのトレードを行うのはかなり危険です。

ドル円の場合過去の円高は50%から75%程度の確率で期間の取り方次第

お盆の時期にドル円が円高になるかということで見るとやはり休みの並びの問題もあるようで、過去20年を最大期間としてとった長期で確認するとその確率は50%から75%程度と期間の取り方によって幅があることがわかります。
50%だと円高になったりならなかったり程度のものになってしまうので、それが確実に起きると断言することまでは出来ないのが実情です。
20年間の過去相場を通して75%の確率があるのなら打ってみる価値はありますが、50%ではその投資妙味はかなり下がることになります。

過去2018年辺りまではドル円の年間値幅がそもそも10円程度だったので日足でも8月のお盆シーズンに劇的にドル安円高が示現することはありませんでしたが、ここ5年間のお盆シーズンの動きを見ると下落水準は年によってまちまちではありますが昨年は一時的にそれなりの値幅がでていたことがわかります。
お盆シーズンは本邦の輸出勢がぎっしり上値にリーブオーダーを置いて休みに入るので、上値は相当重たくなり結果的に売買を仕掛ける投機筋はどうしても下方向を意識することが多くなると言われています。
一般的に輸入勢は比較的そのコストを利用者に転嫁しやすいビジネスをしているとされているため、輸出勢ほどリーブオーダーを置かないのが有名で下値は常に狙いやすくなるという事情が存在しているようです。
またお盆明けにはすぐに値を戻しやすい状況が続くので、売りで利益がでたらとにかく早めにリカクすること、もしくは下げたところを買い向かってその後の相場に備えるといった工夫が必要になりそうです。

今年の休みの並びで言えば11日の休日は本邦は動かず、週明け14日、15日も市場参加者は激減するので、そのあたりに相場が本当に下落するかどうかを我慢強く見続けることが重要です。
11日は米国の生産者物価指数PPIが発表になり、その後ミシガン大学消費者信頼感指数も発表となるため、こうした指標をきっかけにして大きく相場が下落するという可能性も考えておきたいところです。

ドル円よりもさらに円高確率が高くなるのが豪ドル円

これもよく知られていることですが、南半球の通貨というのは8月押しなべて弱含むのが大きなトレンドとなっています。
理由は定かではありませんが、なんらかの実需の問題が絡んでそうした状況になるようで、我々はその理由が正確にわからないためアノマリーと呼んでいますが、実際にはもっと確固とした理由が存在している可能性がありそうです。
豪ドルの場合8月はお盆に限らず対ドル対円で非常に相場が弱含む状況で、お盆シーズンだけ取り出すと実に80%程度は円高になるといった数字もでています。

確率ベースでいうとドル円よりもさらに高いのが特徴で、こちらも下落について行くのか下値で拾って秋口に上昇するのを押し目で狙うのかをよく考えてポジションを作ることが肝要になります。
豪ドルの場合お盆の期間よりも早めに下落がはじまり、その後も8月一杯下落する動きがでやすいのが特徴なので売り仕掛けを考えるならこちらの方がお勧めと言えます。

毎回当たる訳ではないことを前提にして下目線で相場を眺めてみることが重要

ここまでいろいろ書きましたが、結論からいうとお盆シーズンだから自動的に円高がやってくると考えるのにはさすがに無理があります。
ただしドル円などは上値に実需筋のリーブオーダーが驚くほど並ぶことになるので、それを突き崩して大きく上昇するのは事実上不可能で、動きがあるとすれば下落つまり円高方向であると意識しながら参入できるタイミングを勘案してみるのがお勧めということになります。