米国証券取引委員会(SEC)が、ようやく米国初となるビットコイン現物ETF(上場投資信託)を承認したとの発表を行いました。

この決定が、米国の取引所にてビットコイン現物ETFの上場および取引を実現する重要なマイルストーンとなったことは言うまでもありませんが、規制ETFを介してビットコイン市場へ直接アクセスすることができるようになったことにより、所有者の代わりに暗号資産の保管や管理を行う「カストディ業務」が完全に不用となりました。

今回承認されたのは、Bitwise (BITB)、Grayscale (GBTC)、Hashdex (DEFI)、BlackRock (BTCR)、Valkyrie (BRRR)、Ishares (IBIT)、Invesco (BTCO)、VanEck (HODL)、WisdomTree (BTCW)、Fidelity (FBTC)、Franklin (EZBC)の11商品となり、運用大手のみならず規模の小さい業者の申請も認証された点が大きな特徴となっています。

この承認を受け、ビットコインの価格は案の定「Sell the Fact(よい噂が出た時にはすでに買われている)」の様相となりましたが、ここから新規参入者の資金がどれだけ集まり、価格を維持することが出来るかが大きな注目点となりそうです。

ただ、こうしたETF商品が市場に出回るのは今回が初めてとなるため、本当に成功するのか、それとも最初だけ話題を集め確固たる市場を形成できずにシュリンクしてしまうのかどうか、先行きは不透明な状況です。

 

直近の1カ月のビットコインの動き

初年度2兆円超えの市場規模予測も先行きは不透明

ビットコインの現物に直接投資することが可能となったことにより、これまでビットコイン市場に参入してこなかった投機筋たちがここから大挙して押し寄せ、上場初年度の市場規模は140億ドル(約2兆円)を超えるとの見方もあります。

株や債券などは、ファンダメンタルズによりある程度適正な価格を想定することができるものです。

しかしビットコインはほとんどの場合、ファンダメンタルズを材料に動かず、マイニングのコストがフェアバリューになっているだけで、株や債券、為替のような価格形成の論理は全く持ち合わせていないのが現実です。

そのため、ETFが承認されたとは言え、機関投資家や年金などの運用ファンドにとって、ビットコインはまだまだ手を出しにくい投資対象であり、この先のビットコインETF市場は誰が中心になって支えて行くことになるのか、先行きは不透明な状況です。

当面は上下に振れながら上昇か、どこかで大きな調整局面を迎える可能性も

このところビットコインの現物ETFには、非常に高い関心が集まっています。

そのため、初期段階である程度の資金を集めることは容易かもしれませんが、このまま継続的に大きな市場を形成できるのか、またボラティリティが高いという問題を解決できるのかどうかが今後の課題となりそうです。

これを機に、決済通貨として安定的な需要を確保できることがベストですが、現状ではまだその段階には達しておらず、仮に主要中銀が独自のデジタル通貨を発行する時代が繰れば、どこの国からも影響を受けないという仮想通貨の立ち位置が、逆に邪魔になる可能性もあります。

ビットコインの場合、相場が大きく崩れるきっかけを明確に予想することは難しい状況です。

足元では、米株S&P500との相関性が高かったり、米国FRBの金融政策や米債金利の影響を受けるなど、本来独立した仮想通貨としてはあり得ないような材料にも反応する様になっています。

今回のビットコインETFの承認を受け、当面の間は大きな上下動を伴いながら、資金の流入と相関して価格が上昇することが予想されます。

それと同時に、どこかで大きな調整局面を迎える可能性も十分にあり、一度価格が大きく崩れれば必要以上に相場が下がるというリスクもあります。

また、すべての金融商品がバブル状態で推移している状態であれば、株や債券の暴落という市場における個別の問題に反応して下落するという可能性もあるため、しばらくの間は注意深く取引を行う必要がありそうです。

まずはこのマーケットが安定的に拡大するかどうかが最初の試金石となりそうですが、その前に相場が大きく崩れてしまった場合、市場の形成は失敗に終わる可能性さえもあります。

個人投資家としては、仮想通貨CFDに一定のレバレッジをかけ、買いからでも売りからでも自由に取引ができる海外FX業者を利用することが得策のようです。