今年に入りまだ2週間余りですが、ドル円相場は年初から先の見えない状況が続いており、年明け早々、多くの損失を出してしまったという方も多いかもしれません。

一体何がこれほど難しい相場を形成してしまったのか、昨年末から現在までの動きを振り返ることで見えてくるものがありそうです。

年末は大きく売られ年初は大きく買われたドル円相場

まずは年末からこれまでにかけての動きを振り返ってみましょう。

クリスマス明けは、休暇から市場に戻った欧米勢が、FRBによる春先の利下げを織り込んだことから、ドル円は28日という年末の押し詰まったタイミングにも関わらず、140.300円レベルまで売りが加速する展開となりました。

ドル円が140円を割るのではないかと予測した市場参加者も多かったようですが、それ以上に下押しする動きは見られず、その後は142円一歩手前まで値を戻し年内の取引きを終えました。

年明けのドル円相場は、1月2日から日足レベルで下値を切り上げ上方向を目指す展開となりましたが、1月第二週は、経済指標の結果や米債金利の低下を受け、一度は上昇したドル円が反落するという荒い展開となりました。

そのため、意気揚々と新年相場に参加し積極的にポジションを持って攻めようとした投資家が、大きな痛手を食らう結果となり、週末もどんよりしたムードが続きました。

 

年末年始のドル円の動き

 

ドル円は、ここ2週間激しい上下動が繰り返されたため、運よく下落で利益を獲得した方もいれば、オーソドックスに上値を順張りし利益を獲得することができた投資家もいることと思います。

テクニカル的に言えば、ドル円はこの先上昇する可能性も濃厚ですが、ここから147円台へ上伸するほどの材料は今のところなさそうです。

ここから146.500円を越える動きがあれば、さらに上値を試すことになりそうですが、この水準で抑えられた場合は再度下落を試すことになりそうです。

現状では、146.400円レベルに上値抵抗線があることに加え、東京タイムなどではシンガポール勢による売りが強まり再度下方向を目指す可能性もあるため、FOMCが開催される月末までどっちつかずの相場が続きそうです。

一般的に1月は、株も為替も天井をつけ2月に向けて下落することが多くなります。

このところドル円はシーズナルサイクルはほとんどワークしない状況となっていますが、季節性は少なからず影響があるため念のため、意識しておく必要があります。

ドル次第のユーロ、ECBの利上げが終了ならドル高シフトか

年末年始のユーロドルの動き

 

ユーロドルは、昨年末に市場がFRBによる春先の利下げを織り込んだため、上昇する局面を迎えました。

12月28日には5か月ぶりの高値となる1.1141を記録したものの、年が明けた1月5日には一時1.0877まで反落する展開となり、先週は1.09台での上下動を繰り返す1週間となりました。

週明けもはっきりしない相場が続きそうではありますが、ECBが利下げを明確に示唆するようなことがあれば、ユーロ安が一段と進む可能性も想定されます。

そうなった場合、1.0775レべルまで下押すこともありそうな状況ですが、場合によっては戻り売りを試すこともあるため、現状で相場の方向感を断定するのは避けたほうがよさそうです。

 

年明けからこの2週間は、個人投資家のみならずプロトレーダーも疲弊する荒れた相場状況となっています。

大きな要因の一つとなっているのが新NISA制度の導入で、すでに国内の個人投資家が2兆円近くの資金をドル転し事実上の円キャリートレードをスタートさせています。

海外投資家が日本株を買う場合も、ヘッジでドル円を買い向う動きが顕在化するため、ドル円は今後もなかなか下がらない状況が続きそうです。

ただ、突然円高が強まるような段階では、巻き戻しのドル円売りが出ることがあるため、どのような状況でも対応できるよう目配りしておくことが重要な1週間になりそうです。