3月第三週の為替相場は、18、19日に開催を控える日銀会合において、政策変更が実施されるかどうかに大きな注目が集まる一週間となりました。

前週、日銀経由と思われるリーク記事が多数出回り、それを織り込んだ相場は大きく売り込まれる展開となっていました。

しかし週明け以降はそれ以上値を下げることはなく、追加のリーク報道がされても円高に動く様子はなく、結局のところ149円台前半で週の取引を終えています。

今週は、18、19日に開催される日銀会合にて政策変更の可否が明らかにされますが、国内メディアにより連投されるリーク記事の影響により、市場はすっかり反応を示さなくなっている様子が窺えます。

政策変更はすでに織り込まれている印象があるため、サプライズのドル円売りが出るかどうかというレベルで収まるのではないかとの見方が高まっています。

しかし、その一方で万が一3月の解除が見送りとなればドル円は急激にドル高に振れる可能性が高まります。

 

1週間のドル円の動き

 

16日深夜に公開されたニューヨークタイムの日経電子版によると、3月のマイナス金利解除はほぼ確定とされています。

円高要因が確定したにもかかわらず円高にならないということは、ショートの溜まり過ぎを意味しており、19日の会合により円高にシフトすることを期待する向きが、損切をせずそのまま持ちこたえている状況と言えます。

そのため19日の政策発表時には、ドル円が150円に到達したとしても抑え込まれる可能性があることも想定しておく必要がありそうです。

先週のドル円相場は、結果的に下値切り上げ、上値追いという展開となっており、市場が期待する円高チャートとはほど遠い状況となっています。

週明けのドル円相場は日銀会合とFOMCが重要テーマ

今回の会合で、日銀が0.1%の利上げを行いマイナス金利を解除することを市場はすでに織り込み済みであるため、政策変更が実施されても大きな影響はなく通過することが予想されます。

発表時にドル円相場がどの水準を推移しているかにもよりますが、現在市場に残されているショートポジションから見ても、相場が大きく変動することは考えにくい状況です。

イールドカーブコントロール(YCC)の撤廃など、他の材料も政策変更として挙げられない限り、ほとんど動きのないままFOMCを迎えることになりそうです。

 

20日は日本は春分の日に当たり、翌日21日の午後3時にはFOMCの政策発表が控えています。

FOMCでの政策変更はないにしても、利下げがさらに後ずれするような内容をパウエル議長が口にすれば、米株とそれに相関する日本株も下落することが予想され、為替は米債金利との相関から上昇する可能性が高まります。

そうなれば、ドル円相場は再び150円超えが視野に入り、大きな方向転換を迎えることになりそうです。

今月発表された米国の月次CPIおよびPPIは、市場の事前予測を上回る数字となっており、インフレはまだ沈静化していないことを示す結果となりました。

FRBがこの結果を注視すれば、年内に3回を予定していた利下げが2回に減らされる可能性もあります。

さらには、大統領選が終わるまで利下げを実施しないという選択肢も残されているため、FOMCの政策決定は日銀以上に大きな影響力があり、為替相場も想定外の上下動に見舞われる可能性があることも認識しておく必要があります。

ただ、ここで注意しなくてはならないのが、日本株に投資しすでに400兆円弱の時価総額を保有する外国人投資家たちが、日経平均の下落を嫌気して一旦持ち株を利確した場合です。

その場合、ヘッジで購入していたドル円も売り転換となり、一日でも2兆円以上の売りが出ることも考えられます。

また、本邦勢のレパトリの時期も重なることにより、ドル高に動いたはずのドル円が一時的に円高方向に急落するシナリオも意識しておかなくてはなりません。

つまり、相場の動向は単純な材料だけではなく、複合的な要因がどのようなタイミングや順序で現れるかにより、変動の大きさも変わってくるということになります。

毎年、春分の日を挟んだ数日間において行われる海外からの資金国内回帰、いわゆるレパトリエーションも、相場に一時的な円高シフトをもたらす要因となり得ることを認識しておく必要があります。

大きな金額になると処理にも時間がかかるため、マザーマーケットの東京市場に持ち込まれることが多くなります。

また、海外拠点からのレパトリエーションは主にロンドンフィキシングに持ち込まれることがほとんどであるため、これらの時間帯はドル円のドル売り円買いの需要が出現し、突然相場が急変する場合もあります。

日柄的にはユーロ高も足元ではドル高進行のユーロドル

ユーロドルは、ドルが弱含む時間帯にはユーロ高で推移してきましたが、米国の月次CPIおよびPPIにおいて予想を上回る結果が発表されて以降、米債金利は上昇し、ユーロ高からドル高に転じる展開となりました。

 

1週間のユーロドルの動き

 

週明け以降も、ユーロドルはドル次第で大きく左右される展開となりそうです。

このところ、先行きを予測することが非常に難しい状況が続いています。

ポジションをあらかじめ仕込んでおき、会合の結果を待つよりも、結果を確認しその流れについていくという慎重かつ確実なトレードを心がけたいところです。