ここのところドル円は、2022年11月および昨年の11月に続き、152円台突入を視野に入れる動きを見せています。

テクニカル的には、2022年から広義の三角持ち合いを形成しており、3回目となる今回は突破の可能性が高まっているため、いよいよ3月最終週にも152円突破が実現するのかどうかに国内外の関心が集まっています。

現在、チヤートはアセンディングトライアングル(上昇型のトライアングル)が形成されており、多くのチャーティストが上抜けの可能性を期待し始めています。

ただ、152円のラインにはかなり大きなノータッチオプションが存在しており、これが行く手を阻んでいるのは間違いなさそうです。

 

 

先日、日銀が発表した0.1%の利上げとマイナス金利の解除は、本来であれば日本株とドル円にとって上昇の材料とはならないはずなのですが、FOMCを通過し市場は確実に上値を目ざす展開となっています。

ただ、米債金利が下がり始めると、ドル円は下落方向に動く傾向があるため、上昇するには経済指標や要人発言など何らかの材料が必要となることは確かです。

そのため、152円越えが3月最終週に実現するのかは未だ不透明な状況です。

ここ1~2週間で152円を超えなければ失速の恐れも

為替相場における上昇と下落のリズムには一定の規則性があるため、よほど特殊な事情がない限り、遅かれ早かれドル円は自律的に下落に転じます。

昨年11月の相場の動きがまさにそれで、感謝祭前という時期的に手仕舞いが重なり、殆どの市場参加者が上値を試す挑戦的な動きから離れることになりました。
ドル円は、3月半ばからすでに2回も152円を試す動きを見せており、うち1回は151.900円の手前で押し戻されています。

今週も、近づいては押し返されるという動きになれば、この三角持ち合いを上抜ける確率は低くなります

今週金曜日は、米国がグッドフライデーにあたり株式、債券市場ともに休場となり、欧州も木曜日頃からイースター休暇に入るため、152円突入のチャンスは週前半に限られます。

日米における株価上昇はドル円にもプラスに働きますが、それも年度末にさしかかりリバランスから売られる可能性が高くなるため、勝負のタイミングは限定される状況です。

日本株購入のヘッジとしてドル円を購入していた海外投資家が、株売りに合わせてドル円を売る可能性も高く、これもドル円の上昇を阻む要因となりそうです。

このような局面で最も力を発揮するのが短期の投機筋ですが、150円台を推移していた2月の相場を見ると、彼らの多くがゴルディロックス相場(過熱もせず冷え込みもしない相場)を期待しているようで、ドル円は特に高値で膠着しやすい状況となっています。

相場が動かないとなれば、国内の個人投資家も積極的には取引を行わなくなるため、今月3度目となる上値挑戦は幻に終わる可能性も残されています。

 

過度な相場変動でない限り財務省も簡単には介入できない状況

Photo Reuters 介入に向けて常に臨戦態勢を強調する神田財務官

 

先週は日銀政策決定会合が行われましたが、会合の前後でドル円は1日で約2円も上昇する荒々しい展開となりました。

152円が近づくと、その手前でもたつく時間も多く、変動値幅としては財務省が考える過度なものではないことから、このまま152円ですぐに介入を行えば、他国から単なる水準感からの介入であると批判を受けざるを得ません。

それだけに、今後ドル円が152円を突破し、その後も緩やかに上昇を継続するのであれば、155円超えも視野に入るのではないかという専門家の見解も増えつつあります。

ただ、152円から上昇についていくのは、相当ストレスのかかるトレードになりますし、ポジションを保有しほったらかしにするような時間帯でもなくなるため、トレードの仕方にも工夫が必要になりそうです。

ひとたび上昇相場となれば、リスクリワードの問題を抜きにしてつい参加したくなるものですが、結果的にはレンジ相場の方がより安全に多くの利益を獲得することができたという場合もあります。

多くの参加者が注目する場面では、そもそも参加すべきか、また参加するのならばどれだけの時間を使うのかを予め考えてから参加することが重要になりそうです。