ようやく市場が世界的に大注目していた11月のFOMCを通過し相場は少しは落ち着くことになるかと思われましたが、引き続き市場は米国FRBの利上げがこの先どうなるのかに執着しており、パウエル議長から相当明確な示唆があったにもか関らず経済指標によってはFRBの利上げペースが鈍化するのではないかといった思惑で相場が動く展開が続いています。

とくにそれが顕著な形で現れたのが11月4日の日本時間午後9時半に発表された11月の米国雇用統計でした。
非農業部門雇用者数は26.1万人増と市場予想20.0万人増を上回りましたが失業率は3.7%に上昇し、労働市場の緩みを示したことから相場ではこちらのほうがフォーカスされる事になり、インフレがこのまま進行せず12月以降の利上げ幅縮小が可能になったとみた市場は一旦結果を受けて吹き上げたドル円を売りに回りなんと147円割れにまで深く下押しする相場となってしまいました。

それまでマイナスに沈んでいた米株三指数も大きく買い上げられパウエルがせっかく口にした利上げ継続、ターミネーションレートはまだ上昇するという方針の直後であるにも関わらず、また市場に都合のいいような解釈が広がることになってしまいました。

Data Tradingview

3日午前3時のFOMC発表直後の145円台までの突っ込みにはならなかったものの、終値は146.610円とかなり低いところで一週間の取きを終えています。
FRBの利上げ継続からさらに上方向に向うことが期待されたドル円は逆に下方向に沈んでいこうとしていることが窺われ、週明けもこの動きが続くことになるかかが注目されます。

すでに8月後半から10週以上上昇してきた相場のため調整が入るのは相場の必然でもありますが、FOMC直後にこうした形で下げに転じると言うのはそれなりに違和感のある相場でもあります。
実際には雇用統計の結果のみならず週末前のポジション調整や投機筋のロスカットなども複合的に重しとなって146円台まで下落しているようですが、チャート形状から見ますと一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けしたうえ、一目均衡表三役好転も消えており、テクニカル的にはまだ下値を模索する相場が続くことは覚悟せざるを得ない状況です。

週明けは米国中間選挙と10月米国CPIの結果に注目

週明けは米国中間選挙があります。
しかし民主党が大勝することはなさそうな雰囲気で、米国内ではそれなりの盛り上がりはみせているようですが、米国外からはこの話題はほとんど聴こえてこない状況です。

むしろ市場が大注目しているのは10月10日に発表となる米国の月次CPIの発表です。
前回に続き、40年ぶり高水準を更新するような事態となれば雇用統計後の妙な米利上げペース鈍化期待が改めて剥落し米債金利は上昇、ドル円も相関性を持って再度上昇軌道にのることが考えられますが、逆に数字低下すればドル円はさらに下げに転じる可能性も高まります。

まさに週開け相場は子のCPI次第で動きが決まることを覚悟して臨む必要がありそうです。
ただ、ドル円の場合140円を明確に割り込むといった動きにならないかぎりトレンド転換とは言えないのまた事実で、下値では買い向かうことも検討する必要がありそうです。

ユーロドルはどうしても下方向へのリスクが拭えない状況

10月27日のECB理事会の結果発表を受けて9/13以来約1カ月半ぶりのパリティ越えの高値まで急伸したユーロドルでしたが、ラガルド総裁の理事会とは異なる発言から一旦下落となり、週開けはまたしてもパリティの下で展開する冴えない一週間となってしまいました。
雇用統計ではドルが弱含んだことからかなり買い戻されましたが、それでもパリティを上抜けるところまで値を回復はしていません。
ユーロ圏は相変わらず高い消費者物価指数が示現していますが、その一方でECBによる利上げペース鈍化期待も根強く、ややもすれば下落する可能性が高まる状況になってきています。

週開けは欧州当局者が続々と発言する機会が訪れることとなるため、個別の要人の発言次第で相場が上下に振り回される可能性も高く、日頃以上に注意が必要な一週間になりそうです。
このままだと大きく戻したところはまた売りで算入する機会を見つける相場が続きそうです。

Data Tradingview

市場はとにかくFRBの利上げのレートが低減していること、ならびに利上げが終わりを迎えることを願う向きが多く、それに沿う経済指標が出れば一目散にドルを売るという動きが加速しているのが現状で、引き続き個別の経済指標の結果でドルストレートは相当上下動を継続しそうな状況となっています。

11月は23日の週になると米国が感謝祭が行われることからまた相場は動かなくなります。
その後はクリスマスへと突き進むことになるため、ここからの2週間利益の取れるところは積極的に取りに行き、月の後半はのんびり過ごすといったトレードの強弱が必要になりそうです。