Photo 時事通信

 

為替介入からすでに1か月が経過しようとしています。

この間、イエレン米財務長官はメディアのインタビューにおいて、介入は稀であるべきで、事前通告が必須という趣旨の発言を繰り返しています。

イタリアで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議の場においても、介入は日常的に行われる措置ではないとの発言を行い、日本は釘を刺された形になっています。

イエレン財務長官がここまで怒り心頭に発しているということは、日本の金融当局との間で何か重大なコミュニケーション問題が起こっているのではないかと予測する識者もいます。

議論を終え帰国の途に就く財務省が、週明けどのような動きに出るのかに大きな注目が集まっています。

介入を牽制しつつも具体的に踏み込まないイエレン財務長官

イエレン財務長官は、2020年の介入時と同様、今回も為替介入を行ったという事実を一切認めておらず、介入の実施を進めようとする新興国に対する牽制の意味で、繰り返し為替介入が稀であることを強調していることが窺えます。

その一方でこれを、日米間の密約関係を維持した猿芝居を続けているのではないかという見方も強まっています。

金融当局のコミュニケーションは、日米の同盟関係の上に成り立っているため、米国が知らぬ間に日本が介入を行ったとは考えにくく、イエレン財務長官が嘘をついて市場を煙に巻こうとしている可能性も否定できません。

そう考えると、多くの日本人アナリストが、投入資金の問題からもはや介入はできないとの指摘を行っていますが、安心するのは時期尚早であると言えそうです。

神田財務官は引き続き強気発言

Photo 朝日新聞

 

イタリアのG7サミットに参加した神田財務官は、「適切な措置を取る必要があり、許されている」との発言を行い、過度な為替変動が経済に悪影響を及ぼす場合には、再介入も辞さない姿勢を示しています。

数回にわたりイエレン財務長官の牽制を受けたにもかかわらず、そのような発言を行うということは、すでに米国と再介入の話が進んでいる可能性もあります。

ドル円相場は、介入後3週間で157円台にまで回復しており、週明けさらに160円到達を試すような動きがあれば、財務省が再介入に踏み切ることも考えられます。

このコラムでも何度か神田財務官が7月に退官することをお伝えしていますが、10兆円規模を投入した介入を失敗に終わらせたまま退官するとは考えにくい状況にあります。

財務省がこのまま159円までの戻しを容認するとも考えられないため、週明けにロングで上値を追う場合はいつも以上に慎重なトレードを心がける必要があります。

米国にとっては日本は数少ない国債買入れ国

足元では中国がBRICSと連携しながら手持ちの米国債の売りを加速しているため、日本は米債購入の大事な得意先ということになります。

そのためイエレン財務長官は、今回の為替介入を承認していませんが、日本との関係を損ねるようなことだけは避けたい立場であることが窺えます。

また11月の大統領選を前に、株価の水準維持は最大の課題であるため、日本が円安対策として利上げを実施するよりも、介入を容認したほうがリスクを低く抑えられる状況であることも理解できます。

再介入の実施水準は158円超えか

ドル円はすでに157円台まで値を戻し、160円到達も視野に入りつつある状況にあるため、週明けに158円台まで上伸することになれば、突然ステルス介入が行われる可能性もあります。

そうなれば、長時間にわたり納得の行く水準まで介入が数回繰り返されることも覚悟しておく必要がありそうです。

財務省としては、3月のマイナス金利解除のときにつけた151円台をターゲットとしていることが予想され、そうなれば7円以上急落する可能性もあるため十分な注意が必要です。